研究課題/領域番号 |
15K15786
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
齋藤 やよい 城西国際大学, 看護学部, 教授 (40242200)
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研究分担者 |
大黒 理惠 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (70510345)
大河原 知嘉子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (80632091)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 臨床判断 / 熟練看護師 / 眼球運動 / 視覚情報 / 危険予知 / Clinilcal Grasp |
研究実績の概要 |
「Clinical Grasp分析のための実験課題映像」を用いた眼球運動の調査に参加した被験者、および危険予知の調査に参加した被験者の合計25名に、書面と口頭発表による研究成果のフィードバックを行った。その上で、結果のまとめ方や研究者による分析・解釈、被験者として研究に参加したことへの感想等について、個別およびフォーカスグループでのインタビュー調査を行った。 経験者(臨床経験10年以上で観察能力が優れていると推薦された看護師)13名には、新人看護師とは異なる特徴(注視時間の分布が臨床経験1年未満の新人看護師とは異なり、0.1~0.2秒に46.9%が集中する)についてインタビューした。その結果「収集する情報量は新人より多い」「1回見ただけで全体の映像が一瞬に脳裏に焼き付く」「見たつもりはないが記憶をたどると言語化できる」といった意見が多く聞かれ、0,2秒以下の注視に熟練看護師のClinical Graspの存在が示唆された。また、調査に参加することにより「目的意識をもって行った観察とは異なる0.2秒以下の注視に気づいた」「自分の思考過程を振り返るようになった」と、何気ない気づきから論理的思考を伴う気づきへの転換や、思考を言語化することにより経験知の形式知化を意識するようになったことなど、映像による教育的効果も確認された。 新人看護師12名では、研究参加から2年が経過する中で「観察すべき項目を意識せずに見るようになった」ことや、意識的に見なかった事柄であっても「意識の外でみれるようになった」「意識しなくても、聞かれれば想起できるようになった」など、Clinical Graspにつながる視覚情報の取り込み方法の獲得の可能性を示唆する発言が多数あった。 以上よりClinical Graspは経験に伴う後天的能力であるが、教育により獲得プロセスが促進される可能性が確認された。
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