長期固定型実習を日本に導入することへの意見を学生に求め,結果,(341名:看護学生261名,助産学生80名)から回答が得られた。導入することに,賛成56名(16%),反対159名(47%),どちらとも言えない126名(37%)であり,反対が圧倒的に多かった。賛成理由は,「知識・技術が深められる(12名)」「スタッフとの人間関係の構築ができる(4名)」「好きな領域の方がやる気が出る(5名)」「環境の変化からくる精神的な負担の軽減(1名)」,「実習記録の減少への期待(1名)」などであった。反対の理由は,「講義・演習で学んだ領域の看護の実践を学びたい(19名)」「全ての領域に興味があり、実践を学びたい(15名)」という意見の他に,「全ての領域を知り自分に合う就職先を見出したい(18名)」,「多くの看護師の対象・場に合わせたケアをみることで看護の工夫・判断力を学べる(17名)」「経験することで自分に合う領域が分かる(14名)」「多くの看護師に会え、学べる(モデル、目標になる看護師像、看護観を培う)(7名)」などであった。 学生は,学問として学んだ領域は,講義・演習・実習として一連の過程を通して学ぶ必要があるとの認識をもつ一方,学びは,臨床の看護師の実践を見学する事により得るもので,自分が実践して得るものとは捉えていないことが示唆される。また,看護職としての適性や興味といった自分探しの場であり,就職や進学を決定するための機会としても捉えている。 高度化・複雑化する医療の中で,学生の医療過誤を避けるために,ますます見学実習となり実践の機会は少なくなることが予測される。シナリオや多職種共同によるシミュレーション演習を実習に振り替えている国などもあり,患者を対象とした実践が困難であれば,このような方法を含めた実習以外での実践力の強化も含めて,教育の方法の検討が必要である。
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