研究課題/領域番号 |
15K15790
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
永谷 幸子 静岡県立大学, 看護学部, 准教授 (90452200)
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研究分担者 |
小林 宏光 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (20225535)
林 久恵 星城大学, リハビリテーション学部, 准教授 (80444404)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 起立性低血圧 / 足関節運動 / 脳血流 / 近赤外線分光法 |
研究実績の概要 |
急激な高齢化に直面している日本では、人々がいつまでも自分の足で移動できるかどうかという点が大きな課題になっている。健康を損なった人が速やかに元の生活に戻るために、看護師には患者のモビリティを維持拡大できるような看護を提供することが求められる。しかし実際の臨床の場では、モビリティの拡大が計画通りに進められないことがある。その要因のひとつに姿勢変換に伴う循環動態の変動が挙げられる。本研究の目的は、姿勢を変える前に足関節の運動を実施し、この運動の実施によって、姿勢変換に伴う循環動態の変動が予防・緩和できるかどうかを検討することである。今年度はこれまでに得られたデータの分析を行い、その結果をまとめて報告した。その内容は、次の通りである。 能動的な足関節運動を60秒間実施した場合と、30秒間実施した場合の姿勢変換(仰臥位から座位)に対する効果を確認したところ、60秒間の能動的な足関節運動では、運動の実施に伴い前額部で測定した酸素化ヘモグロビン濃度が増加した。運動の実施の有無と姿勢変換前後の酸素化ヘモグロビン濃度について有意な差が認められ、60秒間の足関節運動を実施することで、姿勢変換によって誘発される脳血流の減少を緩和しうる可能性があることが示唆された。しかし、運動の実施時間を30秒に短縮した場合、運動の実施の有無と姿勢変換の前後について酸素化ヘモグロビン濃度の有意な差は認められなかった。これらの結果から、姿勢変換に対する能動的な足関節運動の脳血流に対する効果を得るためには、運動の継続時間や強度を考慮する必要があることが示唆された。
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