研究課題/領域番号 |
15K15799
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
佐伯 由香 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (70211927)
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研究分担者 |
城賀本 晶子 愛媛大学, 医学系研究科, 講師 (90512145)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 精神動態覚醒水準課題 / 集中度 / 香り |
研究実績の概要 |
精神動態覚醒水準課題(PVT)は集中度を客観的に測定する指標である。先行研究を参考に測定時間を10分、インターバルの最小ならびに最大時間をそれぞれ2秒と10秒に設定したが、この妥当性を検討するため、種々の条件下でPVTを実施して比較検討を行った。成人女性16名を対象に、ペッパーミントの香りがある場合と好きな音楽を聴いている場合、そして何の音も香りもない(control)条件でPVTを行った。統計は対応のあるt検定を行い、p<0.05で有意差ありとした。その結果、control状態の反応時間の平均は263.8±34.6msecで、香りがある場合247.9±35.4msecで有意に香りのあるほうが早かった。また、平均の反応時間だけではなく、反応時間が最短のものから10%ならびに最長のものから10%までの平均時間も香りがあるほうが有意に短かった。音楽がある場合はいずれの測定値もcontrolと比較して有意な相違は認められなかった。音楽に関しては、各被験者の好きな音楽を聴いてもらったため、ロックやJ-pop等被験者により異なり、これが結果に影響した可能性が考えられた。また、主観的な評価に関しては、多くの被験者が香りがあるほうが集中できたと回答したが、中には香りがあるほうが集中できなかったと答えた被験者もいた。しかし、おもしろいことにこのように回答した被験者のPVTの結果をみると、香りがあるほうの反応時間が最も短く、本人の感覚と客観的指標との乖離がみられた。本結果から、PVT実施にあたり、今回設定した測定条件で相違が検地できることが明らかとなり、この条件で薦めることに問題はないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
交替勤務を行っている看護師を対象に、外耳道光照射を実施して睡眠状態の改善がみられるか否かを検討することが本研究の1番の目的である。しかし、研究者がこのPVTを取り扱うのが初めてであること、研究期間中に他の仕事が入ってきてそちらを優先させたため、研究が途中で中断してしまった。そのため、今年度で研究期間が終了する予定であったが、もう1年延長できるよう手続きした。
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今後の研究の推進方策 |
本来の目的を達成するべく附属病院看護部に協力を求め、現在約30名の協力者が確保できている。この協力者を対象に測定を進めていきながら、さらに協力者を増やしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に、平成29年度から新たに開始される放送大学新番組の視覚教材ならびに印刷教材の作成という期限付きの新たな仕事が入ってきたため、そちらを優先させた。そのため研究計画が予定より大幅に遅れており、次年度にその遅れを取り戻す計画である。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究は、夜勤を実施している看護師を対象に行う研究である。1被験者が2ヶ月間にわたって外耳道への光照射や睡眠日誌を記録してもらうだけでなく、1週間に1回集中力の測定を依頼する。毎日の負担や長期間にわたる計画のため、研究費の多くは謝金に使用する予定である。現在すでに30名の被験者が決定しているが、もう少し被験者数を増やす予定である。
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