研究課題/領域番号 |
15K15809
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研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
鈴木 啓子 名桜大学, 健康科学部, 教授 (60224573)
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研究分担者 |
平上 久美子 名桜大学, 健康科学部, 上級准教授 (00550352)
鬼頭 和子 名桜大学, 健康科学部, 准教授 (90714759)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ハンドマッサージ / 精神疾患患者 / ケア技術 / 精神看護 / 代替補完療法 |
研究実績の概要 |
平成28年~29年度にかけ精神科急性期病棟において入院患者21名を対象にハンドマッサージを実施した。延べ98名の患者が1回以上のHMを受け、3回以上継続的に実施した者は16名で平均年齢は54.4歳で あった。21事例について1回のみで希望のなかった者と複数回患者自らが希望した者にわけ、事例分析を行った。その成果については、国際学会(International Nursing Research Conference 2017,Bangkok)で発表した。分析の結果、病棟スタッフからの要請で病状が不安定だが心地よさを提供することが効果的と判断され導入された事例については、患者自らが希望することはなく、一方、他患者の仲介があったり、自らが希望した患者の場合には、複数回の利用があり、自分のストレス解消や退屈さを紛らわせる等のニーズを満たすための利用であることが多かった。これらの事例分析と並行して、精神科病棟における精神疾患患者を有する人へのハンドマッサージのケア技術としての介入について、精神専門看護師および精神看護熟練看護師への面接調査を実施した。その結果、協力者全員が何らかの意図的介入をするためのかかわりの糸口をつくるために、ハンドマッサージやふれるケアを活用していることが明らかになった。この結果は、既述した事例分析を合わせて検討してみると、研究者らが考案しているハンドマッサージそのものを提供する援助とは区別されるケアであった。すなわちケア提供者がかかわる患者に何らかの変化や行動変容を期待せずに実施されるふれるケアとしてのハンドマッサージは、専門看護師や熟練看護師のかかわり方と異なるケア技術として成り立ち得る可能性が示された。以上を踏まえて、今年度は最終年として精神科病棟における入院患者を対象としたケア技術としてのハンドマッサージの意義について検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年に研究者が副学長に就任したため、大学運営に関する業務が多くなったことと、研究分担者の体調不良があったため、専門看護師および熟練看護師への面接調査が主となった。
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今後の研究の推進方策 |
ハンドマッサージを実施した患者についての事例検討および精神専門看護師・熟練看護師への面接調査を通して、ハンドマッサージの提供が望ましい患者の状況を明確化し、最終的に、精神科入院病棟において患者に提供できるハンドマッサージのハンドアウトを作成することを目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は大学運営のための業務が増えたため、平成30年度に研究期間を延長し期間、調査を引き続き行う予定としているため。
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