研究課題/領域番号 |
15K15810
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
岸田 泰子 共立女子大学, 看護学部, 教授 (60294237)
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研究分担者 |
久保 恭子 (木村恭子) 東京医療保健大学, 看護学部, 教授 (10320798)
石井 久生 共立女子大学, 国際学部, 教授 (70272127)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高度生殖医療 / 倫理的問題 / ジレンマ / 不妊看護 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
本研究は、第三者が関与する、いわば倫理的問題を含む高度生殖医療におけるケアについて、日本とタイの看護者の意見を集約し、必要な支援と看護教育への指針を得ることを目的としている。 延長申請し4年目となる2019年度は最終年度として、不妊治療における制約が比較的少ないタイ国と国内での制約が多いために海外に治療を求めてツーリズムを行う不妊カップルが増えている日本、この二国間において看護教育への示唆を得るための量的調査を実施した。方法は無記名自記式質問紙調査であり、看護学生のART (assisted reproductive technology)に対する考え方、倫理観をたずねた。日本の看護学生454名、タイの看護学生816名から回答が得られた。結果、ARTの将来的な利用についてはタイの学生のほうが利用を希望するものが多く、日本の学生は「わからない」と答えたものが半数で最も多かった。また第三者が関与するARTについては、看護者の立場として容認する者の割合は日本の方が多かった(p<.001)。看護教育の中で第三者が関与するARTやその看護について学んだ経験は、タイの学生のほうが「あり」と答えた者が多かった(p<.001)。しかし、不妊看護や第三者が関与するARTの看護について現状よりもっと必要であると考えている学生はタイでは8割以上、日本では9割以上であった。道徳的感受性については、タイより日本の学生のほうが低かった(p<.001)。以上のことより、進化するARTに対応し、また第三者が関与するARTについても看護教育内容を充実させるとともに、学生らの道徳的感受性を高めるような倫理教育を検討する必要があると考えられた。
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