平成30年度は、患者中心の意思決定支援の説明を始め、意思決定ガイドの使い方、開発方法質を確保する国際基準を紹介したWebサイト(http://www.healthliteracy.jp/decisionaid/)を作成した。このサイトでは、意思決定の支援ツールとして開発されたオタワ個人意思決定ガイド、そして日本で開発された乳がんの手術方法の意思決定ガイドを紹介している。 海外では、具体的な選択肢とそのメリットとデメリットについて説明した意思決定ガイドが多く開発されているが、日本で開発されたものはまだ少ない。そこで、幅広く活用できるガイドとしてオタワ意思決定ガイドがあり、このガイドでは治療や検査などの選択肢やメリット・デメリットが空欄になっており、自分の情報や考えを書き込むことができる。これは、治療に限らず他の意思決定についても活用できる。 そして、欧米では意思決定ガイドの研究が1990年代から盛んになったが、研究が盛んになるにつれ、意思決定ガイドの質が問題となった。質の低い意思決定ガイドが普及しても、患者の納得のいく意思決定にはつながらないため、2006年世界の意思決定支援の研究者らによって、意思決定ガイドの国際基準IPDAS(International Patients Decision Aids Standard)が開発された。この基準は、人が何かを決める際、人間だからこそ持つ考え方の癖や傾向(認知のゆがみ)についての研究を基に、各選択肢に対して中立的に支援できるよう作られている。この基準は常に洗練されバージョンが上がり、最新版は44項目から構成されるIPDASiであり、2017年本研究において国際基準の日本語版を開発した。この基準を満たす意思決定ガイドとして、日本で開発された乳がんの術式選択意思決定ガイドがある。これらについてWebサイトでは詳細に内容を掲載している。
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