研究課題/領域番号 |
15K15815
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
内木 美恵 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (50712543)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 原発災害 / 避難生活 / 母親 |
研究実績の概要 |
研究3:「福島県の原発災害により生活の拠点を移動し、困難な体験をした子どもを持つ母親に、発災後4年目(平成28年)、5年目(平成29年)と経時的に生活や健康に関する体験や思いなどの語りをナラティブ分析し、課題の背景と要因を明らかにする。」対象者を避難指示区域から避難した母親を対象にデータ収集を行っている。現在のところ7人が参加を希望したが、研究の趣旨を詳細に説明したところで辞退が3名出ている。辞退理由として当時のことを思い出し話そうと思って話すことを希望したが、話すという現実に直面すると気分がのらない、沈むなどの言葉があり、避難が未だに思い出すことさえも辛い経験となり、参加が得られない。また、原発関連の仕事に家族が従事していることでも断られることがあった。リクルートを始めて1年になろうとするが、語ってくださる母親を探すことに困難を要している。現在4名の方のインタビューが終了しているがインタビューの内容はまだまだ個人レベルであるため、飽和を目指すため10人程度としたいと考えており、研究参加者を探している。 研究4:「チェルノブイリ原発事故により生活の拠点を移動した子どもを持つ母親の生活や健康に関する課題を明らかにし、福島の例との共通性や特異性を明らかにする。」研究参加者を探すため、赤十字関係者、ドイツにいるNGOで働く友人等に対象者の紹介をお願いするメールを出し、直接会ってお願いするなど行っている。しかしながら、現在のところ、該当者は見つかっていない。現在も紹介してくれる方を探している。探す方法として、チェルノブイリ原発事故被害者また周辺の事柄について研究を行っている大学の研究者(専門は教育学や社会学)とも連絡を取ることを試みており、被災者とは直接関係はないが、被災者に関する情報を知っている方の紹介をしていただこうと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究3として報告したように、福島原発による避難生活をしている母親という対象者はいても、参加を希望し、語りを聞かせていただくことが困難であり、予定している避難指定区域から避難した当時乳幼児を抱えた母親10人には、後6人が必要である。条件をクリアする参加者を集めることが困難な状況にある。また、研究4についても対象者を見つけることが困難な状況にあり、データが得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
研究3については、現在、避難指定区域である町村(大熊町、双葉町、浪江町、富岡町を主としている)に広く広報している。スノーボーリングによる参加者を集めながら進める。また、これらの各町にある母親の共助NPOにも声をかけ、参加者の募集を図っている。また、参加者を10人としたいが、6人程度で分析していくことも検討したい。 研究4については、ウクライナやベラルーシで原発災害以外の研究をしている大学教員にも声をかけて対象者を探している。その他に、関連書籍、新聞等から対象となる母親がいないか探したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究参加者から承諾を得てインタビューができた人数が少なく、データとしてまとめられるものにはならなかったため旅費が少ない。また、まとめるにあたっての機材の購入も遅れているところである。チェルノブイリ原発事故に関する被災者の研究部分が大幅に遅れており、資金の使用ができていない。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、インタビュー参加者を探すとともに、現在までに得られているデータをまとめて、学会で発表する。また、今後も研究参加者の募集をしインタビュー者を増やし内容の飽和を目指したい。これと同時にチェルノブイリ原発事故に関する研究を進める。
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