研究課題/領域番号 |
15K15817
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研究機関 | 東京有明医療大学 |
研究代表者 |
臼井 美帆子 (笹鹿美帆子) 東京有明医療大学, 看護学部, 講師 (90292565)
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研究分担者 |
山内 豊明 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20301830)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 外来受診 / トリアージ / 受診科決定支援 / 外来患者 |
研究実績の概要 |
研究計画に従って、東京都内で2次救急を有する病院の外来患者の受診科決定に関する現状調査を行った。【研究の背景・意義】我が国の医療制度は、国民皆保険、フリーアクセスという点において独特であり、高度な医療をもって国民の高い健康水準を支えてきた。しかし、フリーアクセスは必ずしも的確な受診科を選択するライトアクセスにつながるとは限らず、結果として的確な受診科(二次救急外来を含む)にたどり着くまでの時間の遷延及びそのことに伴う症状の悪化、時間的ロス、医療財政の無駄遣いへとつながると考える。現在、多くの病院が入口付近に受診科決定支援を行う医療職(看護師である場合が多い)を配置している。受診科の選択は通常患者の希望に従って事務職が事務手続きをするが、患者自身が適切な判断を下せない場合や緊急性の高い疾患が疑われる場合には、問診を行い、適切な診療科(二次救急外来を含む)への受診案内および当該診療科との調整を行う医療職が必要としている医療機関がある。【方法】東京都内で二次救急を有する241病院を対象に受診科目決定支援者の有無、支援者の職種と選択理由、定式化の有無について実態調査を行った。【結果】回収率は,28.2%であった。回答した68病院中47病院において受診科決定支援者がおり、そのうち第一受診科目決定支援者(患者に最初に受診科目の決定の支援を行う者)で最も多い職種は看護師(55.3%)、次いで事務職で29%であった。第一受診科目決定支援者としての選任用件としては、事務職では「受付業務と並行して行うため」、看護師では「医学的知識」、外来部門への「スムースな連携」が多く挙げられた。【結論】受診科目決定支援に際して医療提供者側のシステム及び教育の整備が今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
受診科決定支援の現状調査は東京都内241病院を対象に行い、現状について把握することができたが、次の目標である受診科決定支援者の選任要件を明らかにする作業が途中である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、受診科決定支援者の選任要件を明らかにすべく半構成的質問法を用いてヒアリングを行う。 本研究は、外来患者受診科決定支援時の病院職員の役割分担についてのコンセンサスモデルの開発を目的としたものであるが、エクスパートパネルの妥当性確保の難しさから、当初計画していたデルファイ法による目的達成を断念し、因子分析法を用いた方法論に変更を検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の計画したヒアリング及びアンケート調査による受診科決定支援者の選定要件の抽出を行うことができなかったため、平成28年度にその実施を行い、因子分析へとつなげる。
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次年度使用額の使用計画 |
病院職員へのヒアリング、アンケート調査、因子分析のための謝金、データ入力、統計処理、アンケートのための調査郵送費、通信費、データ入力、統計処理に使用予定である。
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