研究目的は、看護師が講じている夜勤時多重課題対策の解明、および、その成果に基づく看護師のための夜勤時多重課題対策指針の開発である。この目的達成に向け、平成28年度までに、次の活動を行った。すなわち、郵送法による質問紙調査行い、全国の病院65施設の看護師624名から収集したデータを質的帰納的に分析し、看護師が実際に講じている夜勤時多重課題対策39種類を解明した。この39種類の対策とは、【夜勤中の業務の進め方や行動計画を事前に決定しておく】【夜勤中に生じる可能性なる問題や予定外業務を予測し、未然防止、早期発見、円滑な対応に必要な対策を講じる】等である。 また、この結果は、看護師が、夜勤時のみに多重課題対策を講じているわけではなく、日勤時やそれ以外のときにも様々な対策を講じていることを示した。そこで、このデータをさらに分析し、勤務帯別に看護師がどのような夜勤時多重課題対策を講じているのかも解明した。 さらに、これらの成果の3つの国内学会(日本看護教育学学会第26回学術集会、第47回日本看護学会(看護教育)、第36回日本看護科学学会学術集会)において発表するとともに、「看護教育学研究」(第26巻1号)に原著論文として公表した。 平成29年度は、これら一連の成果に基づき、「看護師のための夜勤時多重課題対策指針」の検討を重ねるとともに、それを反映した「夜勤に臨む看護師のための研修計画書」モデル(案)を作成した。また、研究成果普及の一環として、中国四国地区の病院の看護部教育委員を対象とする研修会において、看護師が講じている夜勤時多重課題対策38種類やその活用方法を紹介した。
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