研究課題
脳卒中は後遺障害を残す可能性が高く、本邦の要介護予防のためには再発予防および発症後の後遺障害の予防が極めて重要である。脳卒中による麻痺の中で下肢麻痺は特に歩行障害を引き起こして患者の日常生活動作(以下、ADL)の低下と要介護状態の主要要因となる。そのため脳卒中患者の歩行障害の予防と改善に関するリハビリテーションが大きな課題の一つとして取り扱われている。脳卒中患者の末梢神経機能を標準化された計測により評価し、機能低下に関連しうる要因を検討することを本研究の目的とした。脳卒中患者の中で「片麻痺の有無」を問う質問に回答し、調査に同意を得られた61名を対象(分析対象肢数は122肢)とした。分析対象者を年代別(60歳以下、61-70歳、71-80歳、81歳以上)に分け、腓腹神経活動電位振幅(96肢)、腓腹神経伝達速度(95肢)との関連を検討した。加齢によって振幅は縮小する傾向が認められた(p=0.001)。速度に関しても高齢になるに伴い速度は低下することが示された(p<0.001)。麻痺側肢・健側肢間において振幅および速度の統計学的に有意な相違は認められなかった。麻痺保有者と非保有者と比較してリハビリの実施割合が高かった(それぞれ64%、36%、p<0.001)。