研究課題/領域番号 |
15K15840
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
北村 佳子 金沢医科大学, 看護学部, 講師 (20454233)
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研究分担者 |
浅野 きみ 金沢医科大学, 看護学部, 助教 (10735351)
紺家 千津子 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (20303282)
村角 直子 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (30303283)
木下 幸子 金沢医科大学, 看護学部, 講師 (50709368)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 外来がん患者 / 就労 / 化学療法 / 両立 / セルフマネジメント |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、外来化学療法を受けるがん患者の治療と就労の両立支援モデルを開発し、その有効性を検証することである。 日本のがん対策として、第2期がん対策推進基本計画では働く世代へのがん対策の充実が重点的に取り組むべき課題として新たに盛り込まれた。働く患者が直面する問題と影響要因には経済的な問題だけでなく、職場関係者や医療者とのコミュニケーションの不備、さらに就労に関連した心身の不調などの悩みがあり、患者本人のセルフケア能力を高める必要性が指摘されている。また、2002年の診療報酬改定以降、各施設の外来化学療法室が充実化し、外来化学療法を受けるがん患者は増加しているため、医療者のいない在宅においてセルフケアができることが求められている。しかしながら、外来化学療法を受けるがん患者が治療と就労を両立していく上でどのような体験をしているのか、その現状は十分に明らかになっておらず、具体的な支援のあり方は検討されていない。そこで、外来化学療法を受けるがん患者が治療と就労を両立していけるために支援モデルを開発する必要があると考え、具体的プロセスとして次の4段階をふむ。 第1段階「治療と就労の両立の構造」質問紙の試案作成:質的研究手法により外来化学療法を受けるがん患者の治療と就労の両立の構造を明らかにし、構成因子と特性から質問項目を抽出する。第2段階 質問紙の信頼性及び妥当性の検討:横断的調査による信頼性及び妥当性を検討し、質問紙を完成させる。第3段階 外来化学療法を受けるがん患者の治療と就労の両立支援モデル開発:因子各項目の因子得点を基に被験者を分類し、治療と就労の両立支援モデルを開発する。第4段階 介入し事前事後テストで検証:開発した治療と就労の両立支援モデルの有効性を検証する。 なお、現在は第1段階である。研究対象者の拡大、研究分担や研究協力を得たところであり、データ収集に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成27年度のスケジュールは、第1段階である「治療と就労の両立の構造」質問紙の試案作成することであった。そして、進捗状況は研究計画書を倫理審査会に申請している段階である(平成28年5月13日開催予定)。スケジュールが遅れた理由として、消化器がん、乳がん、肺がん、血液がんといった種々のがん患者に対応可能な支援モデルを開発するために研究対象者の拡大を検討した。また、最近は3日間の短期入院によって化学療法を行う患者も増加傾向にあり、研究対象者とした。そして、研究分担や研究協力を得る過程や倫理審査を受けるまでにも時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
倫理審査を受けた後、速やかに質的研究手法による外来化学療法を受けるがん患者の治療と就労の両立の構造を明らかにし、構成因子と特性から質問項目を抽出するために、データ収集を実施する。データが飽和に達した時点でデータ収集を終了し、「治療と就労の両立の構造」の質問紙の試案を作成する(平成28年11月予定)。そして、質問紙の横断的調査による信頼性及び妥当性を検討し、質問紙を完成させる(平成29年2月予定)。次に、因子各項目の因子得点を基に被験者を分類し、治療と就労の両立支援モデルを開発する(平成29年3月予定)。
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次年度使用額が生じた理由 |
質的研究手法によるデータ収集が遅れており、協力者への謝礼、専門的知識提供、逐語録作成のためのテープ起こしに関する経費が計画通りに消費されなかった。これらは、平成28年度に繰り越し使用する。
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次年度使用額の使用計画 |
倫理審査の承認を得た後、速やかに質的研究手法による外来化学療法を受けるがん患者の治療と就労の両立の構造を明らかにするためデータ収集を継続する。研究対象者の拡大のため、協力者への謝礼、逐語録作成のためのテープ起こしにかかわる経費が計画申請時より上回ることが予想されるが、平成28年11月までに「治療と就労の両立の構造」の質問紙の試案作成を目標に実施する。そして、質問紙の横断的調査のため、封筒や往復郵送費代として使用する。
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