本研究は、生殖年齢にある20~30歳代の女性の妊孕力に対する自己認識と卵巣予備能との乖離の実態を解明する方法を検討することを目的とした。本研究では、20~30歳代前半の12名の女性に対して面接を行い、その内容を質的に分析し特徴を明らかにした。 その結果、20歳代未婚女性では自己の妊孕力を高く見積もる傾向があり、その理由として月経があること、現時点で身体的な問題を有していないこと、自分の年齢が若いことを理由としてあげていた。しかし実態としては、月経に問題があるなどしても受診行動には至っていないなど妊孕力の裏付けとなる根拠を持たない妊孕力の自己認識であった。一方30歳代前半の未婚女性においても、自己の妊孕力を80~90%程度と高く見積もる傾向が認められたが、すべての女性において「35歳が近づいているので早くしないと妊娠しにくくなる。」という語りが得られた。加えて、妊孕力の根拠として「月経があること」を挙げながらも、それらが自己の健康管理や生活の規則性によるものであると語っていた。これらは20歳代未婚女性に見られなかった特徴であり、30歳代未婚女性では、35歳という妊孕のターニングポイントを意識して自らの妊孕力を保つために生活を改善しながら営み、このような行動を妊孕力の根拠としていた。また、35歳を妊孕のターニングポイントとして意識するという知識も有しており、年齢を経ることで妊孕力に対する関心と学習が涵養されているという現状も明らかとなった。 35歳という妊孕のターニングポイントを超えた未婚女性に対してはサンプルが得られなかったことから、20歳代から30歳代前半で得られたデータをもとに、妊孕力の自己認識を問う質問紙の作成を試みた。今後は、得られた62項目も基に質問紙の精選を行っていく予定である。一方で、AMHとこれらの認識の解離状態については、明らかにすることができなかった。
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