研究課題/領域番号 |
15K15845
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉沢 豊予子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80281252)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 就労妊婦 / 就労妊婦罪悪感 / 妊娠開示 / 職場環境 / 妊娠合併症 / マタニティハラスメント |
研究実績の概要 |
平成27年度は現在就労妊婦の実態を、就労妊婦がおかれている状況を内的特性、外的特性にわけ、それが妊娠中のアウトカムにどのように影響するかを調査した。調査内容:内的特性として就労への関与として、ジョブインボルブメント尺度、3次元組織コミットメント尺度、マタニティハラスメントの経験、FSOP尺度、平等主義的性役割態度尺度、就労妊婦罪悪感尺度および外的特性として、職種、雇用形態、実労働時間、勤続年数、年収、基本的属性について。調査方法:WEB調査、調査対象を就労妊婦、初めての妊娠、20歳以上であるとした。その結果、身体的妊娠アウトカムと内的・外的外的特性との関係について示す。妊娠開示:妊娠を職場、上司にいつの時期に開示するかについては、正常に経過した場合、平均妊娠15週であるのに対し、切迫流早産の場合は、それよりも3週間ほど早くなっていた。就労妊婦の罪悪感尺度においては、妊娠悪阻の場合には、職場への罪悪感(利益過剰に対する感情)が大きいのに対し、胎児への罪悪感は正常妊婦と比べ有意差はなかった。切迫流早産になると、正常妊婦と比べ、職場への罪悪感および胎児への罪悪感の両方で有意に罪悪感が認められた。ジョブインボルブメント尺度では切迫早産妊婦が、有意に高い得点を示した。仕事にのめりこみやすいことがわかった。FSOP尺度は職場を家庭支援的でないと認識していた。また、伝統主義的な考えの傾向も示された。妊娠糖尿病を合併した場合も、マタニティハラスメント経験が有意に多いなどが明らかになった。就労妊婦の妊娠開示は、できるだけ遅くする傾向があり、何らかのトラブルが起こったときそのイメージ戦略が崩れること、就労妊婦の罪悪感は職場と胎児という2側面が示され、これらは今まで明らかにされていなかったため、就労妊婦の支援の基礎資料となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画より進んでいるとはいえないが、計画の80%以上は達成できていると判断する。データの分析で、新たな分析を加えることで違った視点が見出せるのではないかとそれに取り組んでいる最中である。
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今後の研究の推進方策 |
概ね平成28年度の計画に沿って行う予定である。平成27年度で就労妊婦罪悪感尺度を開発しているので、これを下に再度連結匿名化による調査を行い。さらに量的ではわからない内容について、就労妊婦への面接調査を実施する。これによって妊娠開示、妊婦のもつ罪悪感の構造を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定した人件費、謝金を抑えることができた。これはデータ整理用として人件費を見込んでいたが、データ整理が予定月よりも早く終わったこともあり抑えることができた。また、外国論文校閲費は、ボランティアで行っていただける方にたまたま見ていただいたによる。 旅費も学生分が当初予定していた学生が中止したこともあり、軽減となった。
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次年度使用額の使用計画 |
謝金は、28年度質的研究も入るため、テープお越しなど予定よりも対象人数を多くしたいため、使用する予定である。外国論文校閲は27年度はボランティアで見てもらったが、まだ投稿までにいたってないため、これを校閲費として新たに計上したい。また、論文をもう一つ英文投稿を追加したいと考えておりさらに投稿料にまわしたいと考えている。
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