平成27年度は就労妊婦の実態に注目して、妊娠中のアウトカムは何に影響を受けるのかを中心に研究した。平成28年度は、平成27年度の結果を基に、就労妊婦が認識する職務ストレスが妊娠中のアウトカムにどのように影響するか、Demand-Controlモデルおよび、努力-報酬モデルから職務ストレスを測定することにした。 目的:就労妊婦の職務ストレスと妊娠アウトカムとの関連を明らかにする。方法;研究デザインは横断的観察研究で、300名の就労妊婦に対しWEB調査を行った。調査項目は職務ストレスを 仕事の要求度と裁量度の組み合わせからの日本語版JOB Control Questionnaire(JCQ)22項目と職業性ストレス調査票23項目を使用した。妊娠のアウトカムとして妊娠中のマイナートラブル、妊娠合併症の有無、妊娠期快適尺度、就労妊婦の罪悪感尺度、日本語版K6、妊娠後の就労状況(マタハラの有無)妊娠開示の時期について調査を行った。 結果:日本語版JCQより、Passive(仕事要求低裁量度低)群Relaxed(仕事要求低、裁量度高)群 High strain(仕事要求高 裁量度低)群、Active(仕事要求高裁量度高)の4群に分けANOVAにる分析により、妊娠中のアウトカムの特徴を見た。属性において学歴で有意差があった。High strain群とpassive群に中等教育の割合が高い。つまり、裁量度の少ない仕事についていた。就労妊婦の罪悪感尺度において、胎児への罪悪感、職場への罪悪感が最も高かったのが、High strain群で、次にActive群であった、仕事の要求度が高い感じるこの2つの群が 罪悪感が高かった。またk-6の得点もこの2群が高かった。妊娠開示が遅いのがActive群とPassive群であった。この結果のさらなる分析が必要である。
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