研究課題
重症心身障害児(以下、重症児)が自宅で療養するケースは年々増えてきている。「愛する我が子と一緒に生活できる」「病院にいく手間が省ける」というメリットも強調される一方で、「朝まで寝られたことがない」「旅行にはいけない」「他のきょうだいに手が掛けられない」等の訴えが聞かれ、同居家族のストレスは非常に大きいことが報告されている。本研究では、在宅重症児の母・父・きょうだい、すなわち児の養育者と児の同胞として養育される者、それぞれの体験と思いを網羅的に飽和的にまとめることで、今後、当該家族(全体)が重症児を在宅でケアしながら、より活き活きといきていくために必要な支援方策を個人-家族-地域社会のレベルで考察し、実現可能性も考慮しつつ、当該家族へのケア実践モデルを提示した。具体的には、在宅重症心身障害児の家族エンパワメントに関する実証的モデルの構築を目的として、全国の1,659 の当該家族から無記名自記式質問紙票の回収をおこない、フル回答を得た590 家族を対象とした共分散構造分析により実証的モデルを同定した。家族エンパワメントは『社会資源の活用』と『主養育者の介護負担感』、『訪問サービス利用時間』『支援機関数』『年収』により規定され、『社会資源の活用』には『支援機関数』と『訪問サービス利用時間』と「通所系サービス利用時間」と「主養育者の学歴」が、『介護負担感』には「主養育者の中途覚醒頻度」と「支援者人数」と「家族内のきずな」が関与していた(GFI=0.977 AGFI=0.958 CFI=0.922 RMSEA=0.040)。この分析結果は現在、学術雑誌に投稿中であり、また、調査協力を賜った学校への報告書(3部作)の郵送も完了している。
研究室ホームページの研究業績(http://www.md.tsukuba.ac.jp/nursing-sci/child/paper.html)に科研報告書第1報~第3報が掲載されています。
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http://www.md.tsukuba.ac.jp/nursing-sci/child/index.html