研究課題/領域番号 |
15K15851
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
安田 孝子 浜松医科大学, 医学部, 教授 (30377733)
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研究分担者 |
中村 美詠子 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (30236012)
尾島 俊之 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50275674)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 妊娠糖尿病 / 血糖値 / 分娩後 / 母親 / 体重 / インスリン |
研究実績の概要 |
静岡県内のA病院、B診療所、C診療所において平成26年1月から平成27年12月にかけて379人の妊婦の妊娠中の体重、身長、血糖値、食物摂取頻度調査(Food Frequency Questionnaire Based on Food Groups、以下FFQg)など、そして分娩後の母体体重、新生児体重、分娩経過などのデータ収集を行った。GDM発症群は75gOGTTの結果、GDM治療内容についてもデータ収集を行った。 データ解析はGDM発症群とコントロール群とのエネルギー摂取状況、摂取栄養素、生活行動、新生児体重などの比較をした。平均エネルギー摂取量はGDM群は1920kcal、コントロール群は1707kcalであり、GDM群の方が有意に多く摂取していた。しかし、厚生労働省は妊娠中の食事摂取量基準として、30歳から49歳の身体活動レベルⅠの妊娠中期の妊婦は2,000kcalとしているが、両群ともにそれよりも少なかった。GDMを発症した妊婦も発症していない妊婦もエネルギー摂取量に関しては増やす健康教育が必要であること、また、GDM発症妊婦のエネルギー摂取量とインスリン治療の影響を個別に調査する必要があると示唆された。 分娩後のGDM発症者の追跡調査をするために研究協力機関との調査方法などの打合せや研究倫理審査の承認を受ける準備を行った。今後は妊娠中のGDM発症者は分娩後に調査協力機関の内科外来を受診して、血糖値や体重などの検査を受け、結果を食生活や運動などの生活行動に活かせるように助言していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力機関と協働して分娩後のデータ収集を開始する予定であったが、役割分担、費用負担等のことで合意を得られていないため、データ収集の開始が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
GDMを発症して分娩が終了した女性の血糖値は正常範囲に戻る。しかし、GDM既往のある女性は分娩後にDMの発症率が高い。釘島ら(2011)は、GDM既往女性は分娩後1年以内に9%、高島ら(2002)は平均2.6年で42%が発症したと報告しており、短期間でDMを発症する可能性がある。GDM発症妊婦は妊娠中と分娩時に合併症を引き起こすことが予想され、分娩後は一旦血糖値は正常範囲に戻るがDMを発症することがある。DMを発症しないための早期発見や早期治療を行うために、分娩後のフォローを実施していく。そのために研究協力機関との役割分担、研究費の負担などについて打合せを行い、研究倫理審査の承認を受ける予定である。分娩後の調査としてGDM既往女性にFFQgによる食事摂取量・生活行動、血糖値、体重、気血水診断基準、ストレスなどの調査を実施する予定である。また、医療費についても調査する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度は研究代表者が海外講師の招聘や大学院生・学部学生を海外施設で研修を行わせるという教育に時間を割く必要があったことと、研究代表者の体調不良、所属大学と研究協力機関と距離が離れているためにデータ収集の打合せが1回しかできず、日程調整に難航した。これらのことにより分娩後のGDM既往女性への研究協力の依頼や血糖値等のデータ収集を実施出来なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究協力病院とデータ収集のための計画を話し合、研究倫理審査の承認を得る。 4~5月 病院とのデータ収集の体制つくりと倫理審査の承認を得る。6月からデータ収集開始、7月からデータ解析開始を順次行う。
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