研究実績の概要 |
静岡県内の病院1施設と診療所2施設において妊娠期、分娩期、産褥期と経過を追えた女性412人のデータを分析した。妊娠糖尿病(以下GDM)を発症した女性31人(7.5%)、GDMを発症しなかった女性(以下未発症群)381人(92.5%)であり、GDM発症率は7.5%であった。発症群は全員が食事療法、インスリン療法のいずれかまたは両方を受けていた。発症群と未発症群のそれぞれの妊婦の年齢の平均値(標準偏差)は33.1歳(5.9)、31.1歳(5.3)、p=0.05、妊娠前の体重は58.9 kg(13.8)、52.3 kg(8.6)、p=0.01、分娩時体重は67.4 kg(13.3)、62.3 kg(8.7)、p=0.06、体重増加量は8.5 kg(4.8)、10.5 kg(5.3)、p=0.04、妊娠初期の血糖値91.5 mg/dL(13.8)、83.3 mg/dL(10.8)、p<0.01、出生児体重2993 g(364)、3057 g(356)、 p=0.33、エネルギー1742 kcal/日(458)、1761 kcal/日(420)、 p=0.80であった。発症群は未発症群と比較して、発症群の方が有意に妊娠前の体重が重く、妊娠初期の血糖値が高いが、体重増加量は少なかった。厚生労働省が推奨している妊婦のエネルギーは、30歳から49歳・身体活動レベルⅠの場合は1,750kcal/日に、妊娠中期は250 kcal/日を加えた2,000 kcal/日である。本調査の女性のエネルギーは、両群において有意な差がなく、両群ともにエネルギーの平均値が250 kcal/日程度少ない傾向にあると推測される。個々の妊婦の摂取エネルギーを観察して、適切な食生活が送れるように支援する必要がある。
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