本研究の目的は、女性が実施する骨盤底筋強化セルフケアが腹圧性尿失禁の予防や改善に効果があるかを検証することである。骨盤底筋強化セルフケアとは、①腟圧モニタリングのみ、②非侵襲性家庭向け鍼用器具+腟圧モニタリングを指し、2か月間実施した。評価は、自己測定した毎日の腟圧値、介入前後に実施する3種類の質問紙(日本語版ICIQ-SF、IPSS、OABSS)である。 研究1:産後女性による骨盤底筋強化セルフケアの腹圧性尿失禁の予防・改善に対する効果 方法:産後2か月未満で25歳~44歳の女性を対象とし、腟圧モニタリングのみを実施する群(以下、産後腟圧群)15名と非侵襲性家庭向け鍼用器具+腟圧モニタリングを実施する群(以下、産後ツボ腟圧群)15名を割り付けた。結果:分析対象は産後腟圧群7名(ドロップアウト率53.3%)、産後ツボ腟圧群9名(ドロップアウト率40.0%)であった。介入前後で、腟圧上昇が有意であった者が産後腟圧群では7名中2名(28.6%)、産後ツボ腟圧群では9名中3名(33.3%)であった。3種類の質問紙は両群とも骨盤底筋強化モニタリング前後で有意差を認めなかった。 研究2:中高年女性による骨盤底筋強化セルフケアの腹圧性尿失禁の予防・改善に対する効果 方法:45歳~64歳の女性対象とし、腟圧モニタリングのみを実施する群(以下、中高年腟圧群)15名と非侵襲性家庭向け鍼用器具+腟圧モニタリングを実施する群(以下、中高年ツボ腟圧群)15名を割り付けた。結果:分析対象は中高年腟圧群10名(ドロップアウト率66.7%)、中高年ツボ腟圧群12名(ドロップアウト率20.0%)であった。介入前後で、腟圧上昇が有意であった者が中高年腟圧群では10名中3名(30.0%)、産後ツボ腟圧群では12名中4名(33.3%)であった。3種類の質問紙は両群とも骨盤底筋強化モニタリング前後で有意差を認めなかった。
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