研究課題/領域番号 |
15K15859
|
研究機関 | 新潟県立看護大学 |
研究代表者 |
北村 千章 新潟県立看護大学, 看護学部, 助教 (20643795)
|
研究分担者 |
山田 真衣 新潟県立看護大学, 看護学部, 助教 (20588470)
エルダトン サイモン 新潟県立看護大学, 看護学部, 助教 (30512066)
永吉 雅人 新潟県立看護大学, 看護学部, 准教授 (70426542)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 22q11.2欠失症候群 / 長期的なケア / マネジメント / 支援体制 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、22q11.2欠失症候群の人々が、「普通に暮らすこと」ができるために、患者を取り巻く精神面や生活面での包括的な経過観察の方法を明らかにして、思春期以降に精神疾患も合併すると言われる、22q11.2欠失症候群をもつ人々の社会的状況を明らかにして、ケアガイドの理論的枠組みを作成することである。 平成27年度は、<計画1>22q11.2欠失症候群の人々と家族に対して、精神症状合併に関連した状況、課題、ニーズに関する調査を実施した。複雑な遺伝性疾患である22q11.2欠失症候群の本人に対して、精神症状や行動上の問題に対する長期的なケアマネジメントのための示唆を得るために、1991年から2015年までのデータベース(医学中央雑誌、CINAHL、MEDLINE、Google Scholar)から収集した16文献のレビューを行った。日本遺伝看護学会で発表し、その後、総説論文として日本遺伝看護学会誌に掲載された。 <計画2>米国での22q11.2欠失症候群に関する支援体制の資料調査とヒアリング調査を実施した。欧米では、22q.11.2欠失症候群に限らず、様々な疾患において、出生前から生涯にわたり社会的サポートが充実している。特に、米国、フィラデルフィア小児病院では、世界に先駆けて22q11.2欠失症候群のサポートセンターを立ち上げ、世界中から情報が集まっている。そこで、平成27年9月に、フィラデルフィア小児病院を訪問し、22q and You Centerにおいて、遺伝カウンセリング、言語聴覚、小児発達、産婦人科、循環器科、など様々な専門分野の方と議論した。今後、日本遺伝看護学会で発表し、実践報告として公表する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィラデルフィア小児病院を訪問し、22q and You Centerにおいて、それぞれのメンバーがどのように連携して患者と家族と関わっているのか、また、これまでの20年間にどのようなステップを踏んできたのかなどを学んだ。チームの中には患者家族も含まれており、病院のあり方自体が日米ではだいぶ異なるのだと改めて感じた。具体的内容については28年度に、日本遺伝看護学会で発表し、実践報告として論文投稿したい。 文献レビューから明らかになった、1.日本での実態調査を実施し、日本での現状を把握する。2.家族の思いを聴きとり、現状に即した支援を考えていく。3.サポート先進国の欧米から、社会への認知や支援方法を学ぶ、について継続して、研究を進めていきたい。
|
今後の研究の推進方策 |
現在進行中の、22 HEART CLUB (家族会)の活動に参加して、患者・家族が抱える課題を探る、という計画を一部変更する。対象とした家族会では、今現在、思春期以降に精神疾患を合併し、自宅療養中で苦悩の中で暮らす家族が多数存在する。また、その家族会とは別に、就学期以前のお子さんを持つ家族が、新しい形の会を立ち上げている現状が明らかになった。2つに分かれていく家族会を対象としての調査では、結果に偏りが予測される。よって今後は、小児専門病院と連携して、遺伝カウンセラーの協力を得て、医療者の支援を受けながら、実態調査を進めていくことする。 また、昨年のフィラデルフィア小児病院を訪問時に、22q and You Centerで紹介された、biennial international 22q11.2 conferenceに、28年度に参加することを計画に追加する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に予定していた、米国フィラデルフィア小児病院訪問を27年度に実施したため、同行した共同研究の米国フィラデルフィア小児病院訪問者の旅費が発生し、予定以上の支出がされたため、前倒し請求とした。しかし、共同研究者からの旅費の請求がなったため、残額がある。
|
次年度使用額の使用計画 |
28年度に、国際学会に参加する予定であるため、その旅費として使用する。
|