研究課題/領域番号 |
15K15860
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
箕浦 哲嗣 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (80315910)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 羞恥 / 内診台 / テキストマイニング |
研究実績の概要 |
内診台を用いた受診の実施前から実施後までの様々な場面や様々な医療職者に対する羞恥や思いを抽出することを目的に、連携研究者の松浦美由(岐阜医療科学大学健康科学部、助手)とともに、年齢、性別、来院目的や通院期間などの基本属性、および羞恥を回答する際に不快感や違和感を与えないように配慮した調査票の作成をおこなった。また、受診するクリニックにおける取り組みや使用している内診台の形状との比較をおこなえるよう、医療機関向けのアンケートも作成した。 その後、本研究者所属大学の倫理審査委員会による審査を受け、研究実施の承認を得た。 プレテストとして、小さな子どもさんをもつ女性を学内関係者から10人募り、質問内容に難解な問いが無いか、内容解釈に齟齬が生じる危険性は無いかについて意見を求めた。問題が見当たらなかった質問群に対しては、羞恥を測定する一連の質問の適切性を検証するために主成分分析をおこない、それら問の方向性を確認し、一部問の目的が不鮮明なものや方向性が異なっている問を見出したため修正を施した。 さらに、自由記載内容に対する分析方法としてテキストマイニングを導入することを計画しているため、プレテストで収集したデータについて分析をおこない、階層的クラスタ分析等の結果から、重要度や関連度を可視化する準備をおこなった。 現在、最終調査をおこなわせて頂く医療機関を探索中であり、決定次第調査票を送付し、研究対象者に質問紙を配付して頂く準備をおこなっているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、研究実施が承認された後、連携研究者とともに実際に受診されている方々に対して調査票を配布するなどし、広く内診台診察に対する思いを自由記載によって収集することを考えていた。しかしながら、先行研究の結果を利用することにより、同様な調査をおこなう必要が無いことが判明したため、実際に質的な調査結果から質問票に用いる項目を抽出することをおこなわず、プレテストの自由記載内容に対してテキストマイニングをおこない、質問項目を洗練することに注力した。 なお、本研究課題に対しては、倫理的、宗教的あるいは社会的に様々な捉え方や考え方、また障壁が存在することが判明したため、あらゆる意見に耳を傾けるよう注意しながら実施している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究に協力してくださる医療機関を募り、同意が得られ次第、当該の医療機関を受診する対象者に対して配票調査をおこなう。 当初は東海3県より層化抽出により得られた50の医療機関に対して依頼する予定であったが、対象者が確実に集まるであろう名古屋市内の子宮がん検診協力医療機関約140機関の責任者(病院長および看護部門長)に対して書面で研究協力を依頼する。承諾の得られた医療機関については、倫理的に問題が無いかどうかを倫理委員会に諮ってもらい、承認が得られれば研究協力承諾書を取り交わし、羞恥測定尺度を用いた量的調査を開始する。回収は郵送法による。回収したデータは個人情報等プライバシーにかかわることが内在していないことを確認の上、匿名データとして電算化し、以後分析途中も含み漏洩等がおこらないよう厳重に取り扱う。 分析は前年度と同様、スタンドアロンのコンピュータを用い、記述統計、2変量間の相関、平均値の差の検定、そして探索的因子分析および求まった下位尺度に対するクロンバックのα信頼性係数を求めるなどして、尺度の妥当性を評価する。最終的に、上記因子得点を独立変数とした重回帰分析やクラスタ分析などの多変量解析をおこなって、羞恥心の種類や程度を一般化して分類するマップを構成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況が遅れたこと、及び年度内に依頼状などの郵送物を送付できなかったことから、旅費、人件費およびその他を使用するに至らなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度には研究計画の遅れを取り戻し、平成27年度に使用する予定であった旅費、人件費およびその他とともに使用する。
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