研究実績の概要 |
女性が内診台診察を受診する際の羞恥心について調査し、内診台診察における最良な看護援助を探索することを目的として、名古屋市内の子宮がん検診の協力医療機関29施設の協力を得て、514部を郵送法で回収(回収率58.4%)した。 初診時の年齢、現在の年齢、受診回数および出産経験の有無に関して羞恥心との関連は認められず、受診目的別では、婦人科疾患群と検診群は妊娠出産群に比べ羞恥心が有意に高かった。また、かかりつけ医を持っていない群は持っている群に比べて、羞恥心が有意に高く、かかりつけ医の性別では羞恥心に差は認められなかった。さらに、内診台が診察の位置に上がる時、内診中に医師から声を掛けられた時、内診を受けている時、かかりつけ医の有無および出産経験の有無の順番で羞恥心に影響を与えていることが明らかとなった。 最後に、初診時の年齢、現在の年齢および受診回数に関しては、羞恥心の程度と相関が認められなかったことから、医療者は若年者のみならずどの年代の受診者に対しても羞恥心に対して十分に配慮する必要があり、また出産経験が無い受診者は内診室での視覚や聴覚から受け取る情報について敏感に感じていることから、医療者は不用意な会話を慎み、リラックスできるような音楽を流し、受診者の聴覚が内診だけに集中しないよう働きかけることが、羞恥心を軽減させることに繋がる可能性が考えられた。 これら成果については、2018年5月末に第39回国際看護ケアリング学会年次集会(ミネアポリス大学, アメリカ)で発表し、かかりつけ医の普及が遅れている日本と海外との違いなどを議論する予定である。また羞恥心に対する思いのテキストマイニング分析については、複数の解析ツールを用いて分析をおこない、信頼性の高い結果を得るべく作業中である。
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