研究課題/領域番号 |
15K15862
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
楢木野 裕美 大阪府立大学, 看護学部, 教授 (90285320)
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研究分担者 |
岡崎 裕子 大阪府立大学, 看護学部, 講師 (00382250)
羽畑 正孝 大阪府立大学, 看護学部, 助教 (60530318)
小代 仁美 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80531136)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 慢性疾患 / 気になる養育 / 乳幼児の親 / ペアレンティング |
研究実績の概要 |
平成27年度では、1)慢性疾患を抱える乳幼児の親の育児、ペアレンティングに関する文献検討、2)慢性疾患を抱える乳幼児の親の「気になる養育」に関する質的調査を行った。 1)慢性疾患を抱える乳幼児の親の育児、ペアレンティングに関する文献検討 文献検討では、親の育ち、養育に対する親の意識、親の「気になる養育」、健康障害を持つ子どもの親の「気になる養育」、ペアレンティングの視点から文献検討した。親は、親になるまでに家庭生活や子育ての学習をする機会がない中で子育てを経験していた。そして、子どもの泣きに困り親が泣きたくなる、いらいらするなどの困難感を抱いていた。健康障害を持つ子どもの親では、健康児の親よりも養育上の困難を感じ、この困難は疾患による症状の改善に伴って、病状から日常生活や成長発達に関することに変化している。入院に付き添う親の養育態度では、看護師は、親が子どもへの不憫さからしつけに甘くなること、生活がルーズになり子どもの世話が行き届かないことに違和感がある。ペアレンティングについてみると、ぺアレンティングは親になることと解釈し、その要素として子どもにいかに関わるかと同時に、自己肯定感を持てることが必要であり、現在では、いかに親になっていくかについて学ぶため、海外からのプログラムが日本で展開され、その成果が明らかになってきている。 2)慢性疾患を抱える乳幼児の親の「気になる養育」に関する質的調査 慢性疾患として、主に心疾患、小児がん、腎疾患、呼吸器疾患を取り上げた。これらの疾患を抱える子どもの親の「気になる養育」について、小児病棟に勤務する看護師に研究参加の同意を得て、面接ガイドラインによる半構造化面接を実施している。現在までには、疾患に関わらず、感情的な子どもへの関わり、配慮に欠ける世話の仕方、拒否的態度などを抽出している。現在、データ収集・分析を続行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度の予定では、①慢性疾患を抱える乳幼児の親の育児、ペアレンティングに関する文献検討の実施、②慢性疾患を抱える乳幼児の親の「気になる養育」に関する質的調査を行うことである。①の文献検討については終了した。②の質的調査は、研究者の所属機関での研究倫理委員会の承認、研究協力病院の倫理審査承認を受けて調査を実施している途中である。研究協力病院の倫理審査の開催が予定より遅れたため時間を要した。研究計画では40名の看護師への面接調査を予定したが、実施予定のうちのひとつの病院の面接調査を今後実施する。他の病院からのデータ収集は終了し、分析を進めているため、進捗状況としては、やや遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策について、平成27年度に予定していたひとつの病院の面接調査を実施することから始める。平成28年度の予定は、①慢性疾患を抱える乳幼児の親の「気になる養育」に関する質的調査の分析結果を出すこと、②慢性疾患を抱える乳幼児の親の「気になる養育」とペアレンティング支援に関する量的記述的調査を実施することである。質的調査の分家木結果から、親の「気になる養育」の特徴と共通点、そこから考えられるペアレンティング支援項目を抽出した自記式質問紙を作成する。小児専門病院、大学病院を中心に便宜的抽出法により病院を抽出する。調査にあたり、研究者が所属する機関の倫理審査を受けて実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度購入したノートパソコンが予定額より低かったこと、購入予定のプリンターを購入しなかったこと、謝金として予定していた質的調査のテープ起こし代を安価に押さえられたことと、質的調査は一部28年度に実施することになったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に引き続き、質的調査を予定し、謝金のテープ起こし代(15万円)、量的調査として質問紙作成・郵送料等(60万円)、質的調査旅費及び量的調査に関する依頼のための旅費(10万円)、物品費(35万円)を予定している。
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