助産学生が分娩進行状態の診断能力を習得するための新たな演習用教材として、外診所見と内診所見を統合した「外診・内診一体モデル」を開発した。最終年度は、3次試作品を用いて学生への調査を実施し、教材の評価を行った。 1.モデルを用いた助産学生への教育効果 【方法】同意を得た8名の学生に、「内診のみの既存モデル」と「外診・内診一体の開発モデル」の両方を診察してもらい、その結果を記入した診断シートをもとに半構成面接を行った。分析は、診断の正解状況と、面接から「外診と内診のつながり」に関連する内容を抽出し、カテゴリー化した。【結果】学生が、ほぼ設定どおりの診断をした場合を正解とした。既存内診モデルは8名全員が正解し、開発モデルは、外診が5名、内診は8名全員が正解であった。また、開発モデルに関して、外診と内診のつながりについて抽出されたカテゴリーは、「外診所見から進行を予測したうえでの内診」「外診後の内診で『やっぱり合ってる』とつながった判断」「矢状縫合と外診所見から推測できた小泉門の位置」など6カテゴリーであった。【考察】学生は、開発モデルを用いることで、外診と内診から得られる様々な所見を統合しながら考えを深めるという、診断のプロセスをたどっていることが示唆された。 2.当初の申請計画より発展した教材開発と今後の改良について 今回、外診・内診一体モデルを開発し、その教育効果について一定の成果を得た。その中で、当初の計画にはなかった開発内容として、骨重積を変化させられる胎児モデルの開発と、一体モデルの理解を促進するために活用できる副教材「分娩進行習得用紙骨盤・胎児教材」を作成した。これにより、より良い教育システムの中で教材を活用することが可能となった。一方、本教材の実用化に向けては、教材設定の難しさなどの課題も残されているため、より使いやすい教材に向けて、今後も改良を続けていく予定である。
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