研究課題/領域番号 |
15K15870
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
菊地 美帆 常葉大学, 健康科学部, 准教授 (00553322)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 性別違和 / 子ども / 母親 / 支援 |
研究実績の概要 |
「中学校入学前の子どもを持つ母親のわが子の性別違和に対する悩みの有無、また性別違和についての知識を明らかにする」ことを目的とした計画1に関しては、平成28年度までに無記名による自記式質問紙調査を実施し、5から6歳児の子どもを持つ母親からは116部(47.7%)、小学生の子どもを持つ母親からは326部(41.1%)回収することができた。回収したデータの中には、実際に子どもの性別違和感が気になる母親、悩みを抱える母親がおり、気になる内容としては、言葉づかい、服装、遊び方、友達関係、髪型などであり、なかには明らかに性別違和感を訴えている子どもいた。現在データの分析中である。 「すでにわが子からカミングアウトされた母親の、わが子に性典型的行動が見られた時の思いや体験を明らかにする」ことを目的とした計画2に関しては、平成29年度にGID(性同一性障害)の子どもを持つ母親4名にインタビューをすることができた。内訳としてはFtM(female to male)の子どもをもつ母親3名、MtF(male to female)の子どもを持つ母親1名である。子どもの年齢は20歳から30歳代であり、母親の年齢は50歳から60歳代である。質問項目は①子どもの性別違和感に気づいた時期、子どもの様子、その時の思い ②子どもへの対応 ③母親としてどのように理解しようとしたか ④当時の相談相手、必要とした支援 ⑤カミングアウトされた時期、状況、その時の思い ⑥性別違和感のある子どもを持つ母親へ、どのような支援が必要だと思うかなどであり、現在逐語録を作成しデータを分析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2010年文部科学省から都道府県の教育委員会へ「性同一性障害の児童生徒に対する教育相談の徹底と、児童生徒の心情に配慮した対応をすること」が通知された。さらに2015年4月には「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施等について」が通知された。近年学校教育でのGIDの児童生徒への配慮が意識付けられたように思われる。しかし、本研究の計画1は、就学前および中学校入学前の子どもを持つ母親への質問紙調査であるため教育機関に研究の協力を依頼したが、研究協力の同意を頂くことに非常に困難を生じ、データ収集が当初の予定通りには進まなかった。 計画2については、GIDの子どもを持つ母親へのインタビューであり、研究対象となる方が非常に少数であること、また研究対象となる方がいたとしても、研究協力の同意を頂くことに非常に困難が生じた。そのため計画1および計画2のデータ収集までに想定以上に時間を要した。平成29年度までに当初予定していた、わが子の性別違和に対し悩みを抱える母親に対しての支援介入までには至らなかったため、一年延長し研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
1.中学校入学前の子どもを持つ母親のわが子の性別違和に対する悩みの有無、また 性別違和についての知識について分析を進め、関係学会での研究成果の発表や論文の投稿をする。 2.計画2で得られたGIDの子どもを持つ母親へのインタビュー内容を質的に分析し研究成果をまとめる。 3.わが子の性別違和に対し悩みを抱える母親を対象に支援介入を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
1.計画3のわが子の性別違和に対する悩みを抱える母親への支援介入が終了していない。今後交流会などを計画する予定であるため、開催の準備や交流会に使用する。 2.研究成果発表のための学会参加費や旅費、3.研究にご協力いただいた方々への謝金等に使用する。
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