今年度は、がんの子どもが望むインフォームドコンセントのあり方を検討する目的で、昨年度収集できたインタビューデータの分析を行い、結果をまとめ成果発表のための準備を行った。研究2として行う予定であった、インフォームドコンセントに立ち会う看護師が考えるがんの子どもにとって望ましいインフォームドコンセントのあり方については、研究1の対象者のリクルートに苦慮したため、実施できなかった。 研究1で、がん闘病経験のある子どもの心理的側面を検討するために行ったバウムテストについては、現在分析中である。闘病期間を経て現在の自分自身が投影されていると考えられるバウムテストからは、目標を持ちながら外の社会へと向かい生活していることが表されている。今後分析を深め、結果をまとめて発表する予定である。 今回の対象者の疾患が骨肉腫であったことから、“足の病気”や“骨の病気”という痛みのある身体部分の病気として説明を受けることは、子どもにとっての理解しやすさ、納得しやすさにつながったと考える。 本研究で明らかになったことは、治療開始時に病名を聞いた子どもにとって、その時の説明は「十分理解できない」、あるいは「やるしかない」という認識で、「やるしかない」は“やむを得ない納得”とも解釈でき、治療に向かう起点となっているということである。また、自分の辿ったプロセスを振り返り、「今の自分でいい」と受け入れ、その時々の身体の状態や周囲の状況に合わせ、流れに逆らわず、自分のできることや、楽しみをみつけながら過ごしてきたプロセスであった。発症時のインフォームドコンセントでは、これから受ける治療とそれに伴う身体的侵襲や入院期間など、子ども自身の身体に何が起こるのか、それに伴う生活の変化について知りたいと思っている。病名や詳しい治療内容については、子どもに合わせて伝える内容や、伝える時期について考えていく必要がある。
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