研究実績の概要 |
同胞の障がいで生ずる生活上の困難への適応が難しく、この問題と生涯取り組まなければならない発達障がい児のきょうだいに対して、ライフスキル健康教育と家族関係をベースとした支援プログラムを開発し、9名(11~14歳)に対して実践した。プログラムは先行因子を「障がいに関する知識の習得」、促進因子を「ライフスキル(意志決定スキル・ストレスマネージメントスキル)」、強化因子を「家族」とした。プログラム評価は、ストレスマネジメント自己効力感尺度(SMSE-20)(山田・大野・堤,2001)と、中学生用ソーシャル・サポート尺度(岡安・嶋田・坂野,1993)とし、サポート源を“家族”とした。その結果、意思決定スキルやストレスマネジメンスキルが高まり、家族からのサポートも高まる可能性が示唆された。今回作成したプログラムでは、参加きょうだいが主体となるように、自分達の経験や知識を元に解決策を見つけ、課題を解決する経験を積んでもらうことを意図した学習過程としたことや、学習方法は参加型で、協同作業の機会を多く設定したことにより、自己効力感や対人関係能力が向上したのではないかと考える。 さらに、ライフスキルについては、机上での知識教授だけでなく、意志決定スキルや漸進的筋弛緩法実践などの具体的なストレス対処方略の練習を取り入れたことも、自分自身でストレスをマネジメントしていく姿勢やスキルが習得できたことに効果があったと考える。 しかし、参加きょうだいの殆どがレクチャーやワークで学んだ知識やスキルを活用できる可能性はプログラム実施直後の評価では示唆されたが、3カ月後には維持できていない項目があった。今後は、この結果を踏まえ、実施後三カ月までにフォローアップのための取り組みを行い、きょうだいの日常生活におけるライフスキルと知識活用の定着と維持を図る必要がある。
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