近年、その人らしい最期を迎える備えとしてAdvance care planning(ACP)やEnding Noteが話題となっている。ACPは患者の意向を尊重しつつ、患者、家族、医療従事者が“最期の時”について話し合い、そのプロセスを共有することである。本研究では、ACPという考え方を取り入れ、先行研究において明らかにしている終末期患者を看取る家族のビリーフを含んだACPプロセスシートを開発することであった。 研究目的を達成するために、前年度までは諸外国、または国内で実際に行われているACPに関する情報収集をしつつ、比較検討し、ACPの構成要素、活用状況、また終末期ケアにおける研究調査状況等、文献検討を重ね、本研究の特徴的なことでもある患者および家族のビリーフを含んだACPプロセスシート開発のための構成要素の抽出まで実施した。 最終年度である今年度は、抽出された構成要素をもとに、患者および家族のビリーフを含んだACPプロセスシート(自分らしく生きるために家族とともに考えること-心づもりノート-)を開発した。構成内容は、『あなたに訊いておきたいこと』として、最期はどこでどのようにして過ごしたいか、現在の心配なこと、医師からの病状説明内容などについて、本人が記述できるように設定した。『あなたが大切にしたいこと、大切にしていることは何か?』では、あらかじめ項目を設定し、思いついたままチェックできるような内容にした。『延命治療・最大限の治療』として、実際に医療処置がどのように行われているのか知識を得ておくための項を挿入した。『家族が考えている理想の看取り・考えていること』の項を入れ、ここでは家族のビリーフを記載できるように設定した。 作成したACPプロセスシートの内容について、専門職から意見を伺い、最終的な心づもりノートとして完成した。
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