平成27年度~平成30年度の研究期間に、小中高生の精神保健問題への支援に関する国内外の先行研究について幅広くレビューを行い、生徒の援助希求行動、養護教諭による児童生徒への介入、学校と関係機関の連携の現状と課題について明らかにした。養護教諭による児童生徒の精神保健問題への支援に関する文献は、小学校、中学校、高等学校それぞれで研究が少なかった。 平成30年度は、高校生の精神保健問題への養護教諭による支援と学校内外の連携について明らかにするために、高等学校に勤務する養護教諭を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した。また、就学している年代の精神保健問題をもつ対象者への医療機関の外来におけるケアおよび他職種との連携の実際について調査研究を実施した。先行研究のレビューの結果、養護教諭による生徒の精神保健問題への支援は、【予防的対応】、【心の健康問題のサインを捉えること】、【問題の予測】、【子どもの状態の把握】、【保健室での関わり】、【巣立ちの機会をつくること】のプロセスがあり、支援のそれぞれの段階で【連携】が行われていた。支援について研究者らの検討を加えて、養護教諭による生徒の精神保健問題への支援に関する介入項目リスト(案)を作成した。養護教諭の属性、勤務校の属性、養護教諭による介入項目リスト(案)、生徒の精神保健問題や精神障がいの特徴、養護教諭による精神保健問題をもつ生徒への対応の頻度、学校内外の教職員、他職種や専門機関との連携などについて、無記名の自記式質問紙調査を行った。 生徒の精神保健問題で回答数が多かったものは、対人関係の悩み、身体症状の頻繁な訴え、家族関係の問題、不登校などであり、生徒の精神障がいで回答数が多かったものは、発達障害、睡眠障害、うつ病などであった。
|