研究課題/領域番号 |
15K15890
|
研究機関 | 長野県看護大学 |
研究代表者 |
有賀 智也 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (10708069)
|
研究分担者 |
渡辺 みどり 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (60293479)
千葉 真弓 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (20336621)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 医療観察法 / 高齢対象者 / 病棟看護師 / 対応 / 困難 |
研究実績の概要 |
医療観察法病棟で職務に従事する看護師が,高齢対象者へ実施している対応とその困難を明らかにする事を目的とし,研究に取り組んだ. そのため,心神喪失者等医療観察法指定入院医療機関へ研究協力を依頼し,研究を実施した.当初,1つの心神喪失者等医療観察法指定入院医療機関から協力を得て,4名の看護師に対しインタビューを実施した.その後,調査内容をより深めるために研究フィールドを開拓し,新たな心神喪失等医療観察法指定入院医療機関から研究協力をいただき,6名の看護師からインタビューを得る事が出来た.最終的に,複数の心神喪失者等医療観察法指定入院医療機関において,合計10名の看護師に対しインタビューを実施する事ができ,臨床における貴重なデータを得る事が出来た. 内容の分析においては,複数名の老年看護学分野の研究者間で検討を繰り返し,カテゴリー化を行った.さらに,形成したカテゴリーを研究に協力していただいた看護師に返し,研究協力者である看護師自らが語った内容が,カテゴリーへ反映されているのかを確認した.このように,研究者の主観を減らし,カテゴリーの信頼性を高める分析方法を2段階で実施した. これらの過程を経て,対応に関するカテゴリー,困難に関するカテゴリーを抽出することが出来た.考察については今後まとめていく. 看護分野への貢献については,既に第1報として学術大会の示説にて結果に関する発表が済んでいる.さらに第2報として,学術大会において最終的な分析結果の発表が控えている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査開始当初は,心神喪失者等医療観察法指定入院医療機関の看護師4名のインタビューを実施した.しかし,研究の質を高めるために,更に6名の看護師からインタビューを得る事が出来た.最終的に10名の看護師からインタビューを実施した.質的研究とその内容から考えれば,研究の意義を担保するための妥当な研究対象者の人数を確保できたと言える. また,その内容を検討しカテゴリー化も済んでいる.カテゴリー化に際しては,研究者の主観を極力排除し,その客観性とデータの信頼性を高めるための検討も行うことが出来た.さらに学術大会での研究成果発表も1度行っている.さらに学術大会での2回目の成果発表も控えている. 今回の研究は,当初3年で実施する予定であったが,この10名の看護師から得たデータを丁寧にまとめるために,1年間の延長を申請し承認をいただいた. 1年間延長する形になったが,研究に取り組んだ内容を考えれば,おおむね順調に進めることが出来ている.
|
今後の研究の推進方策 |
研究を勧めインタビューを実施し,その内容をおおむねまとめることが出来ている.また,その研究内容を学術大会で成果として発表する事も出来ている.今回取り組んだ研究を,学術大会での成果発表のみで終わらせるのではなく,論文としてまとめ広く世間に公表し,看護の発展に少しでも寄与する必要があると考えている.したがって,論文執筆の実施を検討している. また今回の研究では,日本に存在している心神喪失者等医療観察法指定入院医療機関のごく1部の病院でのインタビューとなっている.心神喪失者等医療観察法に関しては,特別な環境下で労働に従事する看護師の対応や困難に関して,まだまだ研究を実施出来る可能性がある.また心神喪失者等医療観察法以外の特別な環境下で労働に従事する看護師も世間には存在している.特に法務省管轄下の医療刑務所などである.今回,法務省管轄下の医療刑務所は研究に協力していただけなかったが,こういった分野へも研究フィールドを開拓していく必要がある.
|
次年度使用額が生じた理由 |
理由として,研究内容をより深め質の高いものとするために,研究期間を1年間延長させていただいた.したがって次年度も使用金額が発生する予定となった. 使用計画としては,学術大会で成果発表する上での旅費,成果報告書の作成,研究協力者に対する執筆論文の送付や受け渡し等に助成金を使用する予定である.
|