パーキンソン病(Parkinson's Disease:PD)患者に対して,PDにおける1次障害の改善を目的に患者自身による運動負荷量管理での有酸素運動を実施し,PD症状と運動機能障害への有効性を検証した。 対象は在宅で生活しているHoehn&Yahr分類3度までのPD患者25名とした。介入方法として負荷量を調整できるペダル運動器を使用し,4週間1日20分の有酸素運動を3回/週以上で自主運動として在宅で実施した。運動負荷量は年齢と脈拍数より算出し,運動中は脈拍数を視覚的に確認することで自己管理にて実施した.評価項目は歩行速度,ケイデンス,ストライド,下肢筋力,Unified Parkinson's Disease Rating Scale Part3(UPDRS3),指タップテストにおける指間の最大距離,総軌跡長,運動速度とした。 結果として歩行速度,UPDRS3,指タップテストにおける総軌跡長で有意な変化を認めた。 本研究の介入効果として,UPDRS3の改善に加えて運動介入が行われていない手指機能においても変化を認め,一方でペダル運動により直接運動が行われた下肢の筋力では有意は変化を認めなかった。このことは,本研究における運動介入が1次障害の原因となるドーパミン作動性ニューロンの問題に対し,有効な効果を与えた結果として運動機能障害の改善に繋がった可能性を示していると考えられた。本研究の結果はPD患者に対するリハビリテーションの選択肢として有酸素運動の有効性の情報を提供できたものと考えている.また,これまでPDの2次障害に対する対応が主であったリハビリテーションに対して,1次障害の治療の可能性も提供できたものと考えられる.
|