研究課題/領域番号 |
15K15898
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
永田 茂樹 昭和大学, 医学部, 准教授 (00255770)
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研究分担者 |
叶谷 由佳 横浜市立大学, 医学部, 教授 (80313253)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 胃瘻チューブ洗浄 / 茶カテキン / 汚染 / 内腔閉塞 |
研究実績の概要 |
先行研究として研究デザインを無作為割り付け比較試験とした臨床研究を実施した。栄養剤注入後に微温湯を注入する群を対照群とし、介入群では微温湯のあとチューブ内を満たす15mlの緑茶を注入しロックする。介入群と対照群が1:1になるよう封筒法を用いて割り付けを行った。緑茶はカテキン含有量540㎎/350ml(GTP濃度0.15%)である花王ヘルシア緑茶を使用した。胃瘻造設7病日に昼食時の栄養剤注入前に検体採取を行った。胃瘻刺入部(ろう孔)の観察(発赤、腫脹、熱感の有無、浸出液や粘液の状態、栄養剤の漏れの有無)、消化器症状の観察(下痢、便秘、嘔吐)についても病棟の看護師により観察を行った。 対象者は9名でうち、女性4名、男性5名であり、緑茶群に4名(うち女性1名)が、対照群に5名(うち女性3名)が割り付けられた。胃瘻刺入部の発赤、腫脹、熱感が7病日までにみられた患者はいなかった。7日目に浸出液と栄養剤漏れがみられた患者が1名であった。下痢や嘔吐が複数回継続するような消化器症状をもつ患者はいなかった。1名嘔吐後に発熱し誤嚥性肺炎であった。その過程で洗浄試験施行前の胃瘻留置チューブ内の細菌汚染が高度であったことが判明した。Klebsiella pneumoniae(肺炎桿菌)が検緑茶群と対照群各群2名、Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)は緑茶群2名、対照群1名、腸内細菌のEnterobacter属は緑茶群3名、対照群1名から、多剤耐性菌で第5類感染症であるAcinetobacter baumanniiが対照群で1名から検出された。この結果はIF=1.215のAging Clinical and Experimental Researchに投稿中である。また、この結果をもとに本臨床研究のデザインの見直しをし、本年5月よりの実施予定で準備を整えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先行研究として研究デザインを無作為割り付け比較試験とした臨床研究を実施したところKlebsiella pneumoniae(肺炎桿菌)が緑茶群と対照群各群2名、Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)が緑茶群2名、対照群1名、腸内細菌のEnterobacter属は緑茶群3名、対照群1名より検出され、多剤耐性菌で第5類感染症であるAcinetobacter baumanniiが対照群で1名検出されたため、1.保健所などに届け、感染対策を行ったこと。2.洗浄試験施行前の胃瘻留置チューブ内の細菌汚染が高度であったことが判明したため、本臨床研究のデザインの見直しをしたこと。3.この結果をIF=1.215のAging Clinical and Experimental Researchに投稿することにしたこと。以上の3点で当初の予定より多少の遅れがが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
院内感染対策を徹底し、多剤耐性菌で第5類感染症であるAcinetobacter baumanniiが検出されなくなり、肺炎桿菌、緑膿菌、腸内細菌のEnterobacter属の院内感染の可能性が低くなったため、本研究の目的である茶カテキンによる胃瘻チューブ内腔の細菌汚染予防効果を検証研究を再開する。 研究デザインは無作為割り付け比較試験として栄養剤注入後に微温湯を注入する群を対照群とし、介入群では微温湯のあとチューブ内を満たす15mlの緑茶を注入しロックする。介入群と対照群が1:1になるよう封筒法を用いて割り付けを行う。なお、緑茶はカテキン含有量540㎎/350ml(GTP濃度0.15%)である花王ヘルシア緑茶を使用したのち、ウォッシュアウト後にクロスオバー試験を施行するように変更する。 対象(性、年齢、健常人か特定の疾病の患者か、適格基準、除外基準を含む)は該当施設で胃瘻造設術を受ける65歳以上患者。なお、緑茶を使用するため、鉄剤を服用中の者、不穏症状や不眠の訴えのある者は除外する。患者の属性として、年齢、性別、既往歴、現病歴、胃瘻の種類、経管栄養剤の種類、服用している薬剤の情報をカルテより得る。胃瘻刺入部(ろう孔)の観察(発赤、腫脹、熱感の有無、浸出液や粘液の状態、栄養剤の漏れの有無)、消化器症状の観察(下痢、便秘、嘔吐)についても観察を行う。 対象症例数は40名程度。観察期間は12週間とし、うち洗浄介入期間は8週間で、胃瘻洗浄開始前および2週間後、4週間後、8週間後の計4回および洗浄終了、4週間のウォッシュアウト後の合計5回、細菌培養を行う。採取条件に差が出ないよう、昼食時栄養剤注入前に同一医師による検体採取を行う。4週間のウォッシュアウト後に同様の方法でクロスオバー試験に移行する。以上の様に本臨床研究のデザインの見直しをし、本年5月より再開予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
先行研究として研究デザインを無作為割り付け比較試験とした臨床研究を実施したところ肺炎桿菌が緑茶群と対照群各群2名、緑膿菌が緑茶群2名、対照群1名、腸内細菌のEnterobacter属は緑茶群3名、対照群1名より検出され、多剤耐性菌で第5類感染症であるAcinetobacter baumanniiが対照群で1名検出されたため、1.保健所などに届け、感染対策を行ったこと。2.洗浄試験施行前の胃瘻留置チューブ内の細菌汚染が高度であったことが判明したため、本臨床研究のデザインの見直しをしたこと。3.この結果をIF=1.215のAging Clinical and Experimental Researchに投稿することにしたこと。以上の3点で当初の予定より本研究の遅れが生じ、次年度平成28年5月第2週より開始することに変更され、前年度使用予定のものが次年度に繰り越ししたため。
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次年度使用額の使用計画 |
院内感染対策を徹底し、多剤耐性菌で第5類感染症であるAcinetobacter baumanniiが検出されなくなり、肺炎桿菌、緑膿菌、腸内細菌のEnterobacter属の院内感染の可能性が低くなったため、本研究の目的である茶カテキンによる胃瘻チューブ内腔の細菌汚染予防効果の検証研究を対象症例数は40名程度、観察期間は12週間、うち洗浄介入期間は8週間で、胃瘻洗浄開始前および2週間後、4週間後、8週間後の計4回および洗浄終了、4週間のウォッシュアウト後の合計5回、細菌培養を実施する。採取条件に差が出ないよう、昼食時栄養剤注入前に同一医師による検体採取を行う。4週間のウォッシュアウト後に同様の方法でクロスオバー試験に移行する。以上のように研究デザインを見直し、次年度平成28年5月第2週より再開することになったため、前年度使用予定のものを次年度に繰り越ししたまま使用する。
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