研究課題/領域番号 |
15K15901
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研究機関 | 聖隷クリストファー大学 |
研究代表者 |
豊島 由樹子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (80249234)
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研究分担者 |
木下 幸代 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (00095952)
鈴木 知代 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (50257557)
小池 武嗣 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 助教 (70345495)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 医療療養病棟 / 在宅療養移行支援 / 看護モデル |
研究実績の概要 |
傷病を抱え療養を続けながらも住み慣れた地域で生活できる地域包括ケアシステムの推進に向けて、長期療養患者の入院先である医療療養病棟においても在宅療養移行支援は喫緊の課題である。医療療養病棟には急性期・回復期病院からの自宅退院が困難な医療的ケアニーズの高い患者が入院している。そのため医療療養病棟からの自宅退院を促進するには、看護師が在宅療養移行支援のイニシアチブを発揮することが求められる。そこで、全国の医療療養病棟看護師に対する在宅療養移行支援の実態調査と、在宅療養移行に先駆的に取り組んでいる医療療養病棟の看護師長への聞き取り調査、加えて医療療養病棟から在宅への連携をはかる役割を担う地域連携室看護師への聞き取り調査、実際に医療療養病棟から在宅療養に移行した患者の家族(主介護者)を対象とした面接調査も合わせて、医療療養病棟における在宅療養移行支援の看護モデルを開発することを目的としている。 全国の医療療養病棟看護師に対する在宅療養移行支援の実態調査の結果として、「介護負担や介護力の不足」「患者と家族の関係性から家族が在宅療養を受け入れない」が在宅療養移行の困難事項として多く示された。また在宅療養移行支援内容では、在宅療養に向けての患者・家族の意思確認や院内における多職種との連携は比較的行われているが、在宅療養移行にむけての計画立案、院外の多職種との連携に課題があることが明らかになった。 そのため在宅療養移行に先駆的に取り組んでいる医療療養病棟では、患者・家族の在宅療養移行に対する意思の確認を重視し、在宅療養の機会を見逃さず、家族の介護負担に対する先入観を軽減する働きかけや、在宅での患者・家族の生活に合わせた支援を行い、院内外の多職種と連携をはかるなど在宅療養達成に向けて継続した支援を行っていることが、看護師長への面接調査から示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は予定通り、全国の医療療養病棟看護師に対する在宅療養移行支援の実態調査、および在宅療養移行に先駆的に取り組んでいる医療療養病棟の看護師長への面接調査について、結果の分析を行い、学会発表できた。 全国の医療療養病棟の在宅療養移行支援の実態調査において、医療療養病棟から在宅への連携をはかる役割を担っている地域連携室に看護師が専従していることが在宅療養移行支援の達成度や支援内容の充実に関係していることが示されたため、在宅復帰率50%以上の医療療養病棟をもつ病院の地域連携室看護師に対しても面接調査を実施した。 また医療療養病棟から在宅療養への移行には、家族の在宅療養の受け止めが大きな課題であることから、医療療養病棟を退院して在宅療養に移行した患者の家族(主介護者)を対象とした在宅療養移行支援に対する受け止めやニーズ等についての面接調査の実施に向けて、倫理委員会の承認を済ませることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、研究の最終段階として申請時の研究計画に基づき遂行する。 まず医療療養病棟から在宅療養に移行した患者の家族(主介護者)における在宅療養移行支援に対する受け止めやニーズ等についての面接調査を実施する。 また全国の医療療養病棟看護師に対する在宅療養移行支援の実態調査の結果について、学術誌に論文投稿する。地域連携室看護師を対象とした在宅療養移行支援の取り組みと課題についての面接調査についても、結果を分析して学会で発表する。 最終的に、これまでの調査結果を統合して、地域包括ケアシステム推進に向けた医療療養病棟における在宅療養移行支援の看護モデルを開発する。
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