研究課題/領域番号 |
15K15918
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
上野 昌江 大阪府立大学, 看護学部, 教授 (70264827)
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研究分担者 |
大川 聡子 大阪府立大学, 看護学部, 准教授 (90364033)
根来 佐由美 大阪府立大学, 看護学部, 助教 (50508794)
安本 理抄 大阪府立大学, 看護学部, 助教 (00733833)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 母子保健 / 保健師 / 子ども虐待 / 死亡事例 |
研究実績の概要 |
本研究は、虐待予防を行っている保健師活動の実態に基づき、彼らの虐待保健の専門性の向上に向けて教育プログラムを構築することを目的としている。平成27年度は以下のことを実施した。 1.「児童虐待による死亡事例等の検証」報告書の分析 平成20年度から26年度までの検証報告書106本のうち0歳児の検証報告書27本(25.5%)を抽出し、そのうち0歳29事例を分析した。0歳児死亡事例の加害者は、母親14事(48.3%)、父親11事例(37.9%)、母親・父親2事例(6.9%)、不明2事例(6.9%)であった。日月齢別では、0日・0か月は4事例(不明を除く)とも母親であったが、1-11か月では父親が11事例(52.2%)と過半数以上であった。月齢別では、3-5か月で父親が5事例(62.5%)と多くなっていた。母または父に精神的問題がある7事例のうち、母親の精神的問題(産後うつなど精神疾患含む)ありは5事例であり、これらの事例の子どもの月齢はいずれも2か月以上、妊娠中、出産後において関係機関と何らかの関わりがある事例であった。アザ・骨折、不適切な養育などがあった8事例のうち、乳児早期の家庭訪問等で子どもの顔面にアザがあることが確認できていたのが5事例あった。これらの結果から妊娠期から父親への保健指導を考えていくこと、被虐待歴が推測され、精神的問題をもつ母親を妊娠初期から把握し、支援に向けての関係構築を図っていくことが重要であることが示された。 2.虐待事例への支援を行っている保健師への実態調査の実施 近畿地区の89市町村の保健師に「保健師の子ども虐待事例への支援についての実態調査」質問紙を実施した。883送付し510人(回収率57.8%)から回収した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
死亡事例検証報告書を分析することにより、死亡事例の特徴、保健師の支援の課題について把握することができた。これらの内容を今後の研修プログラムに反映させていくことが必要である。 また、保健師への実態調査は、現在分析中である。この中から、虐待予防の第一線で活動している保健師のニーズを把握することができると考える。
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今後の研究の推進方策 |
市区町村保健師の虐待保健に関するニーズについては、実態調査から把握できた。児童福祉分野で活動している保健師の実態把握が今後の課題であり、平成28年度に取り組んで行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の研究内容は、報告書の分析、文献検討、調査の実施が主であり、実施した調査の入力、分析に至っていない。そのため入力、分析のため人件費等を次年度に使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に実施した保健師への実態調査について回収までは終わっているので、入力、分析について平成28年度に実施する予定である。
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