本研究は、早期の段階から生涯にわたる生活習慣病予防の系統的な支援を行うことにより、生活習慣病の発症予防を図ることを目的とする。研究の第1段階では、A町の20歳~65歳未満の住民を対象に質問紙調査を実施した。その結果、生活習慣病の発症及び重症化の予防に向けては、地域住民の健康観と生活習慣を把握し、年代別の特徴を考慮した支援を提供することが重要であることが示唆された。また、予防的な視点からの健康観の形成に向けて、早期の段階からの系統的な支援の重要性が確認された。 第2段階の研究では、研究の第1段階の成果を基に早期支援プログラムを作成した。早期支援プログラムは、トランスセオレティカルモデルを枠組みとした身体のメカニズムや生活習慣病に関する知識の提供のための健康教育であり、系統的な支援を行うため約2年間、5回にわたり実施する。具体的には、研究対象者は乳幼児健診に参加する保護者であり、3か月児健診から2歳児検診の場を活用しての実施である。乳幼児健診の場を活用する意義としては、乳幼児健診は参加率が高く容易に参加者を確保することができ、さらに、子どもや家族への波及効果も期待できる。現在は、作成した早期支援プログラムを用いて、乳幼児健診に参加する保護者に健康教育を実施している。早期支援プログラムの効果の検証は、1群事前事後テストデザインによる質問紙調査結果の分析を行う。また、早期支援プログラム実施後(2歳児検診の終了後)に健康観及び行動の変化に焦点をあてインタビューを実施し、質的に分析を行う。介入開始前のデータ収集は2019年1月に終了し、健康教育による介入は、3か月児健診および6か月児健診は終了している状況である。引き続き、1歳児健診、1歳6か月健診、2歳児検診の場にて早期支援プログラムによる健康教育を実施し、介入の効果検証を行う。
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