・最終年度では、G県のコーディネーター調査、新保育所保育指針を踏まえ、未満児保育所のインタビュー調査及び保育視察を実施した。その結果、発達障害児支援の中心となる部署がはっきりしていない市町村が多く、連携協働体制には課題があった。コーディネーターは、保育所保育士は0で、保健部門の保健師25.3%、療育関係者が34.7%だった。早期支援では、保健師がコーディネーターであることが望まれた。未満児保育所では、年度途中の入所が頻繁で、担当制の保育士配置が難しく、また、子育てと仕事の両立で精神的な余裕のない保護者が多く、保育士が発達の問題を保護者に指摘できないジレンマに陥っていた。 ・母親が育児休業を終了し職場復帰する場合、保育所の利用が1歳前後になる。ASDの早期発見として、乳児期後半からの社会性の発達の状況と1歳6カ月健診でのスクリーニングが重要となる。未満児保育を利用している保護者に対し、1歳6カ月健診におけるスクリーニングを保育士も介入できる体制が必要といえる。多くの市町村、保育所が保護者を介した口頭または紙ベースでの情報提供にとどまっており、保育士が日ごろ感じている発達の問題が健診で正しく確認できないことが考えられた。また、保護者が子どもの発達特性を理解できるような支援が急務といえる。保護者が休日を利用して、保育参観できる仕組みや保護者間の子どもの発達に関する学習会などを開催し、働く母親が子どもの発達の特性を理解できる仕組みづくりが必要である。 ・保健師(母子保健)と保育所の連携として、巡回相談が有用であろう。巡回相談を未満児保育にも積極的に取り入れ、乳幼児健診との連携を強化する必要があると考えらえた。保健師による定期的な園訪問(巡回相談)を行うことで、保健師と保育士の顔の見える連携が可能となり、保育士が保護者へのアドバイスなどが行いやすくなることが期待できる。
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