本研究では,分散システムが環境変化や故障に追従して自身の機能を最適に保つ,自己最適化能力を持つ分散システムを実現するための基礎理論の確立を目指す.研究期間中を通して分散環境での最適性に様々な側面から取り組み,特に,モバイル計算主体群の分散協調能力,自己組織化能力の限界について多数の結果を得た.さらに,各計算主体の利己的な自己最適化を考慮したゲーム理論における,局所性の影響を示した.本研究により,集中型システムで知られている性能限界や数理構造が,局所性・非同期性・並列性が不可避である分散環境へ適用でき,自己最適化能力の根拠となることが分かった.
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