研究課題/領域番号 |
15K15939
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
森倉 悠介 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (10732240)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 精度保証付き数値計算 / 数値解析 / 連立一次方程式 / ハイパフォーマンスコンピューティング |
研究実績の概要 |
本年度の成果は以下である. 本研究は高信頼・高精度な大規模連立一次方程式の精度保証付き数値計算法におけるスーパーコンピュータ上での強スケーリング性の調査・評価とその応用を行った.連立一次方程式の精度保証付き数値計算法を行うにあたって,近似解の計算に加えて,近似逆行列の計算,行列積の計算が必要になる.現在もっとも一般的な問題を解く高速な手法においても近似計算の2倍の計算量を必要とする.また,高速な手法は適応範囲が狭いため,大規模な問題に対して有向でない.そのため,適応範囲も広く比較的高速な手法を用いる.その手法は6倍の計算時間が必要となる.通常の共有メモリマシンでは,計算量に依存した計算時間がかかる.しかし,スーパーコンピュータ環境では並列数に依存し精度保証パートの計算時間と,近似計算の時間の割合(精度保証/近似計算)が小さくなる.そのため,スーパーコンピュータにおける性能評価を行うことで,スーパーコンピュータに向けての,新しい連立一次方程式,数値線形代数計算における精度保証付き数値計算法の開発を行う.現状,京コンピュータにて4096ノードを利用した計算では,6倍の計算量を必要とする計算の計算時間が2倍程度の計算時間で実行できることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の成果により,密行列を係数とする10万元連立一次方程式における高速な手法がある程度確立された.そのため,平成28年度の計画における数十万次元おける高速・高精度な手法に向けての計画は順調に進んでいると言える.
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今後の研究の推進方策 |
本課題における総合的な達成目標として,密行列を係数とする大規模連立一次方程式における高速・高精度な解法アルゴリズムを提案することである. 本年度は,高速化に比重をおいた目標の達成が行われた.一方で,精度保証結果に課題がみられる.問題の大規模化において,丸め誤差などの影響による「近似解の精度の悪化」がみられるため,近似解の改善,精度保証計算パートにおける丸め誤差の抑制が必要となる.そのため,「無誤差変換を用いた高精度計算」などを並列分散メモリ環境において高速に利用する実装などが今後の課題となる.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は,研究に必要な経費(特に研究発表にかかる旅費等)が学内の研究補助金により支出することができたため,次年度への繰り越しが行えた.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度への繰り越し分は研究用の高速計算機の購入を計画している.
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