研究実績の概要 |
本年度の実績としては, 本課題の研究対象である, 無限個の凸不等式制約をもつ非線形半正定値計画問題(以下, SISDP)に対する主双対パス追跡法の開発を行い, その大域的収束性と局所的な収束率を数学的に解析した. この手法の着目すべき点は, この枠組みは半正定値錐制約と半無限制約の特徴を両方活かしたアルゴリズムになっており, 既存アルゴリズムの単純な拡張だけで得られるものではない. 理論的性質として, 適当な仮定の下で提案手法はwell-definedであること, また有限次元空間と測度空間の直積空間の中で生成された点列はSISDPのKKT点へ弱*収束することを証明した. また強収束するための十分条件も同時に示した. さらに提案手法に局所帰着法とよばれる, 無限個の不等式制約を有限個の不等式制約で局所的に表現しながらNewton法もしくはSQP法を適用する古典的手法を組み込むことでSISDPのKKT点へ2-step超1次収束することを示したが, この関連で証明したいくつかの数学的性質は, 通常のNSDPやSDPの分野においても新しく, 意義深い. また別の実績として, 円詰め込み問題に対して, 前年度に研究した混合整数DC計画法に基づいた新しい発見的手法を提案した. ここにおける円詰込問題とは, 大円1つといくつかの小円が入力として与えられたときに, 小円を選択して大円の内部に重なることなく配置しながら, 配置した小円の面積を最大にすることを目的とする問題である.本研究では, この問題に対して混合整数DC計画法に基づいた新しい発見的手法を提案した. いくつかの問題データに対する既存研究で示された最良解よりも優れた解を出すことに成功している.
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次年度使用額が生じた理由 |
これは, 当該年度における研究遂行に関して謝金を要さない研究打合せ, 情報交換を行ったことによる. また当該年度における研究は現行の物品で進行させることができたため, 新たな物品を購入することはしなかった. しかしながら, 次年度に関しては新たな研究を進める上で必要となると考えられる. (使用計画) 当該年度の残余分は, 海外出張を通して, 学会参加費, 旅費や情報交換に回していくつもりである. 残りの額に関しても, 初めに計画通りに使用していくつもりである.
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