研究実績の概要 |
最終年度では、(i)前年度において行った半正定値錐制約と無限個の凸不等式制約をもつ最適化問題(SISDP)に関する継続研究と(ii)2次錐計画問題(SOCP)に対して、Fujishige et al(2009)で提案された線形計画問題に対するLPニュートン法を半無限計画問題への再定式化を通した拡張を行った。(i)に関してであるが, 前年度では, SISDPに対して提案した主双対パス追跡SQP法が生成した点列がKKT点とよばれる, ある最適性条件を満たした点への収束性とその収束速度を理論的に解析した。今年度においては、変数の数が5000程度までの大きなサイズの問題群を用いて実際に数値実験を行い、高速に問題を解くためのパラメータ行列の選択方法などについていくつかの示唆を得た。(ii)に関しては、半無限計画問題として表現したSOCPを有限緩和して得られた線形計画問題に対してLPニュートン法を適用しながら緩和度を強めていく手法である。最適解への収束性を理論的に証明し、SOCPに対して最も有効とされる内点法と比較して、次元が低い2次錐制約が多く存在する場合において本手法は有効であることを観察した。錐構造をもつ問題に対して、半無限最適化への再定式化を通して有効なアルゴリズムを開発することは錐構造をもつ半無限計画問題を研究する本課題において意義が大きい。上にあげた本研究は3本の論文として執筆し、いずれも国際的な論文誌に投稿、現在査読中である。 本研究課題を通して, 6種のアルゴリズムを開発した。全ての手法に収束性に関する証明を与えた。また人工問題を用いて提案手法の実際の有効性も確認している。その中でも、半正定値制約をもつ半無限計画問題に対する主双対パス追跡法に関しては半無限制約と錐構造を同時に活かした新しい手法になっている。残された課題として、実問題への応用を行っていくつもりである。
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