研究課題/領域番号 |
15K15953
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
榎本 理恵 東京理科大学, 理学部第一部数理情報科学科, 助教 (30711767)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 統計科学 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,正規性検定と多項式モデルにおける変数選択を主とする.申請者はこれまでに,標本数が次元数(説明変数)よりも大きい大標本理論の下で,データが正規分布に従うかどうかを調べる正規性検定について積率に基づいた統計量の提案と実用性を確認している.ポーランドのHanusz教授との共同研究により,積率に基づく多変量正規性検定統計量に関する論文が受理された.内容としては歪度と尖度に基づく統計量などについて精度の比較を行った.他には医学データでみられる一部分が欠測したデータに対して,正規性検定統計量の提案などを今後の課題としている.また,各個体について経時的に繰り返し測定されるデータのモデル化の一つである成長曲線モデルや逆回帰モデルに対して,データから適切なモデルを選ぶための変数選択規準の構成や特性について,先行研究よりも適用範囲の広い枠組みで検討を行っており,現在結果を論文としてまとめている.成長曲線モデルに対して共分散に構造を仮定した下での規準量の特性を吟味しており,主に自己回帰と一様共分散構造の下で,規準量の一致性などについて議論を行っている.さまざまな規準量が提案されているが一致性を持たない規準量については,どのような状況下で一致性を持つか特性を吟味することも重要な問題である.以上の結果が実際に使用可能かどうかについては数値実験を追加で行い,実データ解析も可能であれば行いたいと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
一年間の休業により予定していた研究成果を出せていない.多項式モデルの規準量についは結果は出ており,学術論文としてまとめる作業が残っている.
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今後の研究の推進方策 |
多項式モデルに対する規準量については,共分散に構造を仮定した場合の一致性に対する結果を学術論文としてまとめる.共分散の仮定としは,自己回帰,一様共分散構造の2つの状況下を想定しており,それぞれ一致性などについて考察を行っている.今後は以上の結果を受け群間変数郡内変数の同時選択に関する研究を予定している.正規性検定に関しては単調欠測のもとでの検定統計量の提案などを今後の課題として想定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
出産及び育児のため補助事業を中断したことによる
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次年度使用額の使用計画 |
学会の参加や研究結果を論文にまとめた際の校正での使用を考えている.また,高次元データの下での数値実験では処理精度の良い機器が必要になるため,その機器購入などを考えている.
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