研究課題/領域番号 |
15K15954
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
野間 久史 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (70633486)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ネットワークメタアナリシス / 多変量メタアナリシス / マルチレベルモデル / Inconsistency / 複合尤度法 / Rare Variants / 分子疫学 / Mantel-Haenszel法 |
研究実績の概要 |
本年度は、臨床疫学・医療技術評価の分野で、近年、大きな関心を集めている、Comparative Effectiveness Researchのためのエビデンス統合方法であるネットワークメタアナリシスの不一致性(inconsistency)の評価において、複合尤度法(composite likelihood methods)を用いた有効な推測手法を開発し、生物統計学の一流ジャーナルであるStatistics in Medicine誌に、その成果を公表した。本研究は、京都大学、Oxford大学などとの国際共同研究として行われ、開発された手法を、Lancet誌に発表された12種類の新世代抗うつ薬を比較したネットワークメタアナリシスであるMANGA studyに適用することにより、原著論文では明らかにされなかった、Industry Sponsorship Biasが疑われるエビデンスを同定し、また、その潜在的なバイアスが、最終的な解析結果にどの程度、影響を与えうるかを評価することができた。 また、近年の分子疫学研究において重要な関心を集めている、稀な遺伝的変異(rare variant)の検出における柔軟な検定技法として、Mantel-Haenszel型の有効な検定手法を開発した。新規開発手法を、Dallas Heart Studyに適用することにより、既存のスタンダードな方法となっている、SKAT-OやKullback-Leibler distance testなどに比較した有用性を示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度は、上記の課題における複数の研究成果を、国際学術誌に公表することができ、順調に研究プロジェクトは進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
28年度までに得られた成果をさらに発展させ、理論的な検討を進めるとともに、当該研究領域における、近年の重要な研究課題への応用を検討していきたい。特に、29年度は、ネットワークメタアナリシス・多変量メタアナリシスにおける高次漸近理論に基づく推測手法の開発や分子疫学研究における統計遺伝学的手法の詳細な再評価やガイドラインの作成を行うなど、臨床研究・疫学研究の実践において、有用な方法論的成果につながる研究を行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
急病により、海外出張がキャンセルになったため、その旅費に予定されていた額を次年度に繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
海外の国際学会における研究成果の発表や、最新の研究情報の収集等などを行う。
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