研究課題/領域番号 |
15K15979
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
森本 尚之 三重大学, 総合情報処理センター, 助教 (40739447)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 電力割当制御システム / 組合せ最適化 |
研究実績の概要 |
複数の電力消費機器を、機器や電源の特徴を踏まえて複数の電源に最適に割り当てる問題は、機器をアイテム、電源をナップザックとみなすことで割当制約付き複数ナップザック問題(The Multiple Knapsack Problem with Assignment Restrictions、MK-AR)として解釈できる。MK-ARは単純なナップザック問題を部分問題として含むためNP困難であり、問題の規模が大きくなると計算量が大きく増大する。そのため現実環境においてMK-ARに基づく電力割当を実現するには、割当計算が実用的な所要時間で終了するかが一つの課題となる。 本研究の2017年度の取り組みでは、MK-ARに基づく電力割当制御をいわゆるIoT (Internet of Things) デバイスで実現することを目的とした。具体的には、Raspberry Pi 2 Model Bのような小型コンピュータ上で、一般的な整数計画問題ソルバであるSCIPを用いて最適割当を計算させた場合でも、一般的な家庭を想定した問題規模(家電数60、電源数3程度の規模)であれば、実用的と思われる所要時間(1秒以下)で割当計算が終了することを明らかにした。 また、前年度である2016年度に実装したプロトタイプシステムを発展させて、Raspberry Pi 2を割当制御マネージャとして、2入力2出力の電力ルータと複数個のスマートタップとの組み合わせにより2種類の電源の割当に対応する電力割当制御システムを実装し、電力割当制御マネージャが決定した電力割当が確かに実現できていることを実験により確認した。 本研究成果は査読付き国際会議 The 8th Network of the Future (NoF) Conference(ロンドン開催)に採択され、2017年11月に発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電力割当問題のMK-ARとしての解釈に基づく電力割当制御システムについては当初計画よりも順調に進展し、2017年度の早い段階で査読付き国際会議NoFに投稿し採択され、成果を発表することができた。その一方で、パラメータの定量化手法の洗練については引き続き検討が必要となっているとともに、国際会議NoFにて研究成果を発表した際の参加者とのディスカッション内容を踏まえてより効率的なアルゴリズムや実装の重要性が明らかになった。 このように当初予定とやや方向性は異なるものの、総合的にみて、研究成果の量的・質的にはおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」で述べた通り、国際会議NoFにて研究成果を発表した際の参加者とのディスカッション内容を踏まえて、 より効率的なアルゴリズムや実装の重要性が明らかになった。したがって2018年度は、本研究の目的をより精緻に達成するため、より洗練させたパラメータ定量化手法に基づくアルゴリズムと実装の効率化に関する成果の発表に向け、査読付き国際会議や論文誌への投稿を積極的に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
「現在までの進捗状況」で述べた通り、国際会議でのディスカッションにてより効率的なアルゴリズムや実装の重要性が明らかになった。したがって、本研究の目的をより精緻に達成するため事業期間を延長し、当初は2017年度に予定していた成果発表のための費用を次年度使用として、2018年度にアルゴリズムと実装の効率化に関連する成果発表を行う予定である。
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