山林などの自然環境で映像をセンシングするマルチメディアセンサネットワーク(WMSN: Wireless Multimedia Sensor Networks)において,センサによる被覆範囲を特定するためには,ノードの位置を高い精度で特定することが求められている.ノードの位置を正確に求めて効率よい配置を行っても,植物などの障害物により実際には期待通りの被覆範囲にならない場合がある. 本研究では,まずノードの絶対座標を高精度に特定する方法を考案した.ノードの絶対座標の取得にはGPS受信機を利用することが多いが,様々な要因でGPS 受信機が取得する位置情報には絶えずノイズが混入する.そこで,WMSNのノードに装着されているカメラと撮影用ライトを利用する位置推定法を提案した.センサノードがLEDライトを搭載するアンカノードの光信号をカメラで検出し,アンカノードの方角を計測する.複数のアンカノードの方角を計測することで,幾何学的計算により自ノードの存在位置を精密に推定する.実際に模擬WMSNを構築し評価実験を行ったところ,ノード間距離が数メートル程度の小規模なWMSN でアンカノード近傍に配置される位置推定ノードに関して,位置推定誤差をGPSの1割程度に抑えることが出来た. さらに,できるだけ正確に被覆範囲を自動で特定することを試みたところ,障害物の位置を特定する部分において新しく大きな課題が見つかったため,新たな研究テーマを設定して解決を試みることとなった.
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