研究課題
本研究では,専門家の経験知となっているケアスキルの形式知化を進めるとともに,ケア従事者の内省を促す認知症ケアスキル学習システムを構築することが目的である.以下にH28年度の成果概要を示す.1.マルチモーダル情報を統合して認知症ケアを分析するためのマルチモーダル行動分析システムを構築し,認知症コーパスの構造を再設計し,内容を拡充した.本コーパスを活用した分析によって,認知症ケアが認知症の人の精神症状の改善に有効であることが示された.2.映像を使って組織全体で学ぶための認知症ケア学習支援システムを開発し,病院内で実証評価実験を行った.本システムは,映像を使った協調学習環境を提供できるという特徴がある.本システムを半年間利用した結果,認知症ケアスキルに向上が認められ,認知症ケアの学びに有効であることが示された.3.研究を進めていく上で,ケアをする前に,認知症の人の状態を「見立てる」ことの重要性が明らかとなった.そこで,精神疾患,内科的疾患,精神科薬物療法に焦点をあてた見立て知を学ぶためのアクティブ・ラーニング環境を構築した.福井県の若狭地区における実践の結果,本環境が「認知症の見立て」の理解に有効であることが示された.以上のことから,本研究の成果は,学習環境とケア知の形式知化を両輪で行うことによって,未解明な認知症ケアの知識が表出化され実践的な知識として内面化できる,ということが示されたことである.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 2件) 備考 (2件)
ヒューマンインタフェース学会論文誌
巻: 19 ページ: 41-50
人工知能学会誌
巻: 32 ページ: 103-110
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