研究課題/領域番号 |
15K15995
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
金 京淑 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 人工知能研究センター, 研究員 (20738728)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | セマンティックコンピューティング / 移動軌跡データ / 集合パターン分析 / 時空間データベース / 可視化 |
研究実績の概要 |
本研究ではヒトやモノなどの移動軌跡データの有用性を高めるため、異種データからの「動き」に関する有用なパターンを発見し意味を付与することで、より高度な知識を獲得できるセマンティック軌跡のフレームワークの要素技術とデータ管理技術の研究開発を目的としている。 初年度の27年ではセマンティック軌跡データの生成フレームワークの要素技術として、軌跡の抽出(Trajectory Extraction)、エピソードの検出(Episode Detection)の方法について研究開発を行った。1)異種のセンサデータの統合と軌跡の検出:ツイートを利用しソーシャルメディアデータから時空間分布パターンに基づく形態的な特徴を抽出し、その特徴の時間・空間的な変化による軌跡情報を検出する手法を確立した。2)移動軌跡データの時空間分析によるエピソードの検出:さまざまな実世界の時空間データストリームに対して、データの時空間分布を解析し、時空間3次元セル基盤のクラスター構成技術、クラスターの時空間変化による傾向やそれらの間の位相関係のパターンによる意味情報を検出する等、効率的なストリーム処理技術及び3次元可視化技術を研究開発した。本研究課題の成果に関して、国際技術学会EM-GIS2015,IWGS2015,FOSS4G2015で研究成果を口頭発表(3件)し、多様な時空間データ分布パターンへの拡張技術に関する成果をGIS分野のトップジャーナルIJGIS(IF: 1.66)で誌上発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ソーシャルメディアデータや個人線量計センサ情報など異種データにおいて、時間・空間的な変化を分析する方法からクラスタリングによる時空間クラスタの位置情報の変化(移動)とクラスタ間の位相関係のパターンの意味情報を発見できる可視化方法までセマンティック軌跡データの生成フレームワークのプロトタイプシステムを完成し、当該手法は既に国際学会・国際誌で成果発表を行っているため概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の計画では、フレームワークから生成される軌跡データに意味付けを行い、地理空間の問合わせが処理できるGeoSPARQL等を利用して大量なセマンティック軌跡データを管理するデータベース技術について研究開発を行う。特に、分析結果の集合移動パターンに基づいて階層的な意味粒度の分類による意味的なエピソードの階層構造を定義し、時空間的なトポロジー関係と意味的なオントロジー関係をフレキシブルに組み合わせた、任意の粒度での意味情報の格納・取得が可能なデータベースの機能を実装する。また、データの有用性を高め、移動軌跡データの収集と利用のポジティブフィードバックを推進するため、地理情報に関する国際標準規格を基づくデータフォーマットの利用と標準サービスインターフェイス提供を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であった書籍が年度内に発売されなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
当該年度中に購入できなかった書籍を購入する。
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