研究課題
平成29年度には以下の研究を実施した.第一に,通信を最小化させるため,RDMA通信を直接利用することで,片側通信でかつ集団通信のない隣接通信を実現し,疎行列ソルバに組み込む研究を行った.今年度は代数的多重格子法の内部に組み込むことまでできたが、予想された性能改善効果よりも低い効果にとどまっていた.性能評価,分析を進め,今後検討を進める.第二に,時間方向並列化への多重格子法の適用を進めた.はじめに周期的な解を持つような問題に対し,時間方向並列化を行ったときの収束性を分析した.これによりMGRITによる時間方向並列化では,粗いレベルの時間ステップ幅と解の周期の大きさが収束性に大きく影響を与えていることが数値実験的に明らかになった.次に,時間方向の並列化だけでなく空間方向も並列化したときに,並列度の割り当てを時間方向と空間方向にどのように割り当てると性能が最大化されるか,研究を行った.時間方向は空間方向と同等か、それ以上に並列化の効果があり,時間方向と空間方向の自由度が同程度のサイズの場合、時間方向に並列度を多めに割り当てた方が全体の性能が改善することが分かった.第三に,これまで進めてきた代数的多重格子法の領域集約に基づく手法の実験データをまとめ,論文の投稿を行った。今後はこれらの研究を統合することで,研究発表を行うことを中心にすすめていく.
3: やや遅れている
成果の発表までまとめられていないものもあるため,1年延長を行った.平成29年度中に結果の高度化とともに,成果発表までまとめていきたい.
研究した実装技術を公開するため,コードの整理をすすめる.また,通信削減手法の完成度をたかめつつ,成果発表のため,他の既存のライブラリとの比較データの充実をはかる.
学会発表や論文化を中心に進めていきたい。
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