研究課題
ディジタル署名方式においてその安全性を保証する手段として標準的な手法となっている安全性証明の構成について、それを構成するための手法の確立、またそれが原理的に構成できないことを証明するための条件の解明を行った。ディジタル署名の1種である、フィアットシャミア型ディジタル署名方式について、安全性証明を構成できないことを示す状況証拠を与えた。これにより、現在ディジタル署名方式が持つべきとされている標準モデルにおける存在的偽造不可性をフィアットシャミア型ディジタル署名方式が持つことは非常に困難であることが明らかとなった。また、フィアットシャミア型ディジタル署名方式の代表的方式であるシュノア署名方式について、より強い仮定を使用したとしても同じく安全性証明を構成できないことを示した。これは、シュノア署名方式の安全性に関わる未解決問題を部分的に解決するものであり、現在シュノア署名方式について示されている安全性が最適であることを示唆している。このシュノア署名方式における結果を拡張し、フィアットシャミア型ディジタル署名方式の全てにおいて、同様の結果が成立することを示した。すなわち、現在フィアットシャミア型ディジタル署名方式について証明されている安全性がほぼ最適なものであることを示しており、より高い安全性を持つためには方式自体の改良が必須であることを示唆するものとなっている。これらの結果を受けて、属性ベースディジタル署名方式の一部であるIDベース型ディジタル署名において、高い安全性と効率性を両立する方式を開発した。
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IEICE Trans. Fundamentals, Special Section on Cryptography and Information Security
巻: E101-A(1) ページ: 77-87
doi.org/10.1587/transfun.E101.A.77