研究課題
本研究では注意が運動主体感の生起に与える影響について,行動レベルおよび神経基盤レベルでの検討を行った.平成27年度では,注意の処理資源,覚醒度,および処理レベルが運動主体感に与える影響を調べた.その結果,注意の処理資源の減少または覚醒度の低下が運動主体感の生起を妨害したことが分かった.さらに,注意の処理レベルを操作し,感覚フィードバックまたは課題パフォーマンスに注意が払われた場合,運動主体感の生起の下位プロセスの優位性が大きく変わることが分かった.運動主体感の下位プロセスの優位性はさらに,運動主体感が注意の処理資源は覚醒度から受ける影響の大きさにかかわることが分かった.これらの成果は,国際ジャーナルに学術論文として多数発表した.平成28年度では,注意が運動主体感に与える影響の神経基盤について脳波を用いて調べた.研究の当初はfMRI実験を計画したが,研究費用および設備の制限により断念し,脳活動を高い時間解像度で測定できる脳波の手法を採用した.その研究成果として,運動が行う前,運動主体感に関連する注意はすでに運動準備電位に含まれることが分かった.また,運動した後感覚フィードバックを受ける際に,運動主体感の増加または減少によって,注意の配分が触発され,その情報はP170とP300という2つの事象関連電位に含まれることが分かった.これらの成果は,国際会議で発表したとともに,複数の学術論文にまとめ,現在投稿中または投稿準備中である.
すべて 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件)
Frontiers in Psychology
巻: 7 ページ: 35
10.3389/fpsyg.2016.00035
Frontiers in Human Neuroscience
巻: 10 ページ: 329
10.3389/fnhum.2016.00329