刺激特徴の知覚は、直前の試行で呈示された刺激に同化する(系列依存性)。最終年度である本年度は、知覚における系列依存性の個人内の再現性と空間位置依存性に関する実験研究の実施をすすめた。実験では、参加者は方位刺激を観察し、知覚した方位を調整法により報告する課題を行った。同一の参加者に対し、2回のセッションを8日以内の2日間に分けて実施した。刺激の位置は2セッションとも中心視野または周辺視野に呈示されたか、あるいはセッションごとに変化した。実験の結果、 直前試行に対する同化効果は、呈示位置が同じ場合には有意に相関する一方で、異なる場合には有意な相関が見られなかった。これらの結果から、方位知覚における系列依存性は(1) 空間位置に特異性を示すこと、(2) 空間位置が同一の場合には個人内で高い再現性を示すことが明らかになった。本研究成果に関して、視覚研究の国際学会であるVSS(Vision Science Society)においてポスター発表を行った。
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